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米ヤフーの「在宅勤務禁止」は日本にとってマイナスか?

テレワークを「福利厚生」から「企業戦略」へ

  • 田澤 由利

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2013年3月8日(金)

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 米ヤフーの女性CEO(最高経営責任者)マリッサ・メイヤー氏が在宅勤務者に対し、出社して働くよう通達を出したという話が、日本でも物議を醸している。

 この議論と前後して、2月28日、安倍晋三首相は施政方針演説で「テレワーク」という言葉を発した。(第百八十三回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説

 「テレワーク」は、ICT(情報通信技術)を活用して、時間や場所に縛られずに働く新しい働き方で、在宅勤務もその1つだ。私も含め、テレワーク業界にとっては、驚きと喜びが一緒に来てしまったようなものである。しかし、私は、米ヤフーの「在宅勤務禁止」が日本のテレワーク業界にとってマイナスだとは思っていない。ここでは、その理由をお話しする。

企業経営者としてメイヤー氏の判断は間違っていない

 私自身がテレワークを始めて21年、テレワークで起業して15年、在宅勤務のコンサルティング会社を作って5年になる。長い間、テレワークに関わってきた私が、今回の米ヤフーの「在宅勤務禁止令」を初めて聞いた時の感想は「そういう企業もあって当然」だった。

 ネット上では「時代に逆行している」「ワークライフバランスに反する」「自由な働き方が必要」といった批判の声が多く上がっている。しかし、議論をするにあたり、共通の認識が必要だ。それは、今回のメイヤー氏の禁止令の対象が「在宅勤務者」であることだ。つまり、業務を委託している個人事業主ではなく、雇用している社員である。(「在宅勤務者」は、企業に雇用され、かつ自宅で仕事をする労働者であり、「在宅勤務」はテレワークのひとつの形態である)。

 雇用をしている以上、企業は社員にベストパフォーマンスで働いてもらう必要がある。メイヤー氏の在宅勤務禁止令は、経営という観点では、間違っていない。企業経営者である以上、会社にとってマイナスな要素があれば、改善するのが当然だ。問題は、米ヤフーにとって「在宅勤務者」が「会社にとってのマイナス要素」となってしまっていたことである。今回の行動は、米ヤフーが在宅勤務者をマネジメントできず、在宅勤務が「企業戦略」ではなく「福利厚生」になってしまっていた結果であると、私は考えている。

 2008年、私は米国務省のIVLP(International Visitor Leadership Program)で、アメリカのテレワークを勉強してきた。米国は、「個人主義」「成果主義」「ジョブディスクリプション」「ホワイトカラーエグゼンプション 」など、もともとの働き方が「業務が明確」「自由な働き方」であり、テレワークと相性がよかった。実際、米国の政府も企業も、(日本に比べて)スムーズに在宅勤務を導入していた。

 「希望があったので、まずはやってみた」「問題が起こったら対応すればいい」「スカイプがあればOK」。アメリカのテレワークは、セキュリティ、コミュニケーション、マネジメントなどには力が入れられていない印象を持った。

 3週間の短いアメリカ滞在だったが、訪問した会社のカフェでこんなシーンに出会った。「明日は休み?」と同僚から聞かれて、両手でVサインを作り"Teleworking"と笑って答える社員。そのジェスチャーの意味を聞いたところ、Vサインはダブルクォーテーションを示しており、"Teleworking"と強調することで「テレワークだけど、実質は休み」という意味だそうだ。

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