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ギャグの歴史で社会背景は語れる?(前編)

「オッペケペー」から「ワイルドだろ~?」まで

2013年4月2日(火)

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 ギャグの流行語について、往々にして世間の風当たりは強いものです。昨年末に新語・流行語大賞を受賞したスギちゃんの「ワイルドだろぉ?」についても「このせりふを、おもしろい、とか、なるほど、と合点したことが一度もないのだ」などのような批判が登場するのです(引用:毎日新聞2012年12月7日「浮世の波間で/時代の言葉、ワイルドかな?」)。

 ただこの種の批判は、現代に特有ではありません。例えば1877年(明治10年)ごろ「オヤマカチャンリン」という言い回しが流行したことがあります。その際にも「此頃(このごろ)府下にオヤマカチャンリンと云(いう)言葉が流行(はやり)ますが何の訳(わけ)だか更に解せませぬ」という批判がありました(引用:團團珍聞=まるまるちんぶん1978年3月16日/「明治・大正・昭和の新語・流行語辞典」より)。逆に言えば、そのぐらい世間から批判されるからこそ「流行のギャグ」と言えるのでしょう。

 さて今回の「社会を映し出すコトバたち」は、明治から現代にかけて登場した「ギャグ」を特集します。そして無謀にも、それらのギャグから「何かしらの社会背景」を分析できるかどうかに挑戦してみましょう。言葉が社会を映す鏡ならば、「ギャグ」だって社会を写している鏡……かもしれません。

 本稿はその前編。まずは明治から現代にかけて登場したギャグの数々を、時系列に沿ってひたすら紹介します。社会背景の分析は、後編のお楽しみとさせてください。

 なお本稿で紹介するギャグには、独自の定義を設けました。「芸能に携わる人物が発信して、一般人が真似をするほど流行した言葉」という定義です。例えば自然発生した言葉(1910年の「なんて間がいいんでしょう」など)や、架空の人物が発した言葉(1963年、おそ松くんに登場するイヤミが言った「シェー」)などは、対象外とします。

 また調査にあたっては「明治・大正・昭和の新語・流行語辞典」(米川明彦著・三省堂・2002年)や「現代用語の基礎知識」(自由国民社)などを参考にしています。

テケレッツのパァ ~明治・大正のギャグ~

 では早速、明治・大正時代のギャグから振り返ってみましょう。この時代のギャグは、落語や演説歌(えんぜつか)の分野から誕生しているところが大きな特徴。ちなみに演説歌とは、自由民権運動を通じて登場した「風刺の歌」のことです。

《テケレッツのパァ》1881年(明治14年)ごろ。通称「釜堀りの談志」と呼ばれた4代目(※)立川談志が、落語の高座で披露したギャグが「テケレッツのパァ」でした(注:代の数え方には諸説ある)。一席を終えたあと、羽織を後ろ前に着て座布団を抱えた格好で「そろそろ始まる郭巨(かくきょ)の釜掘り、テケレッツのパッ」などと言って踊ったというのです。「郭巨の釜掘り」の部分には元ネタがあるものの、「テケレッツのパァ」の方は完全に意味不明の言葉でした。

 ちなみ「郭巨の釜掘り」は、中国・後漢の時代から伝わる孝行話の1つ。郭巨はその話の主人公で、二十四孝(にじゅうしこう=孝行に優れた24人)の1人としても有名です。母・妻・子と共に暮らしていた郭巨は、貧困のため絶食する母の姿に悩みます。そして「子供はまた授かることもできるが、母を授かることはできない」として、苦渋の決断で子を穴に埋めようとしました。その穴を掘っている時、地中から黄金の釜が出てきたのです。その釜には「天が、孝行な郭巨にこれを与える」と書いてあったと言います。それ以来、郭巨は家族を大事に養った、というお話です。談志はこの話を元に「皆さん孝行しなさいよ。テケレッツのパァ」とも言っていたようです。

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「ギャグの歴史で社会背景は語れる?(前編)」の著者

もり ひろし

もり ひろし(もり・ひろし)

新語ウォッチャー(フリーライター)

CSK総合研究所を経て、1998年から新語専門のフリーライターに。辞書・雑誌・新聞・ウェブサイトなどに原稿を提供中。2009年より『現代用語の基礎知識』(自由国民社)で「流行現象」のコーナーを担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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