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アベノミクスの出口戦略を考える

2013年4月8日(月)

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 現在のところ、アベノミクスに対する市場の期待が先行し、円安株高が継続している。また、長期金利が低下し、国債の利払い費増加を抑制する形で、財政にもメリットをもたらしている。このような市場の動きは、間もなく到来する7月の参院選で現政権の追い風となることが予想される。

 しかし、アベノミクスが推進する「(2%インフレ目標を達成するための)大胆な金融緩和」の副作用を心配する学者は多い。それは、円安株高や長期金利の低下という目先のメリットがある一方で、デフレから脱却した時に明らかになるコスト(=金融政策の出口の難しさ)が存在するからだ。

 まず、目先のメリットのうち、長期金利(=国債の利回り)が低下している理由は、単純である。国債も金融商品である以上、その価格は、市場の需給関係で決まる。日銀が「大胆な金融緩和」という形で、「市場から国債を大量に買い始めること」をコミットメントすると、国債に対する需要拡大を見越して国債価格は上昇し、長期金利(=国債の利回り)は低下していく。

 実際、日銀は長期国債の買い入れ年限を長期化するとともに、買い入れのペースを現在の月4兆円程度から7兆円強に増額する方針を明らかにしている。このため、長期金利(10年)は、昨年12月の0.7%台から、4月上旬には0.3-0.5%台まで低下した。このようにアベノミクスは、国債の安定消化(日銀の国債買い入れ増によって銀行などの金融機関が安心して国債を購入できる状況)や、利払い費の上昇を抑制する効果を通じて、財政を支援する心地よい環境を創出している。

貨幣数量説で考える

 だが、デフレから脱却し金利が正常化していく過程では話は異なってくる。この議論は、「貨幣数量説」(quantity theory of money)と深く関係する。貨幣数量説とは「貨幣の数量は物価水準と比例する」とする説で、以下の恒等式で表現される。

マネーストック×貨幣の流通速度 = 物価水準×実質GDP(1)

 (1)式の右辺は「名目GDP」(=物価水準×実質GDP)を表す。「実質GDP(国内総生産)」は、厳密には「取引量」であるが、実質GDPで代用するケースが多い。

 また、この式の左辺に、「マネーストック」と「マネタリーベース」の関係式(マネーストック=信用乗数×マネタリーベース)を代入し、左辺と右辺を入れ替えると以下が得られる。

名目GDP
= 貨幣の流通速度×信用乗数×マネタリーベース(2)

 そして、この(2)式は以下に変形できる。

マネタリーベース(対名目GDP)
=1 ÷(貨幣の流通速度×信用乗数)(3)

 (3)式・左辺のマネタリーベース(対名目GDP)の推移を描いたものが以下の図表の赤線である。

図表:マネタリーベース(対GDP)と名目GDPの推移
(出所)内閣府「国民経済計算」、日本銀行

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「アベノミクスの出口戦略を考える」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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