ベンツが値上げしないワケ

電気料金から日用品、高級ブランドまで値上げラッシュの4月。円安の影響が拡大する中で、沈黙を守るのが輸入車業界だ。背景には、自動車ならではの流通構造がある。

 「2年で2%の物価目標を達成する」。安倍晋三首相と日本銀行はこう意気込むが、「それを待つまでもなく、値上げが足元で進行している」というのが消費者の実感だろう。

 4月から電気料金がさらに上昇する。円安で燃料輸入価格が上昇したためで、電力10社が一斉に値上げを決めた。ガス料金も、大手4社がそろって値上げする。油や小麦粉などの食品にも、値上げの動きは広がる。

 高級腕時計や高級バッグなどの輸入ブランド品もそうだ。「シャネル」は3月1日から時計宝飾の一部で平均5~6%値上げし、「ルイ・ヴィトン」も2月中旬から一部商品を12%値上げした。また、「ウブロ」や「タグホイヤー」なども既に値上げに踏み切っている。

 円高時には値下げしなかったブランドの多くが値上げに踏み切っており、消費者としては「なぜ?」と聞きたくなるかもしれない。ただし、この点については、「貴金属の価格上昇を円高で相殺していた」(高級宝飾メーカー)面もあったというから、目くじらを立てる話でもないようだ。三越日本橋本店における今年3月の時計販売は前年同月比40%増で、先行値上げに踏み切ったタグホイヤーやウブロも「2ケタのプラスだった」という。

中古流通の生態系を崩せない

輸入車の生態系を支えている中古車ビジネス(メルセデス・ベンツ浜松和田)

 様々な輸入品で値上げが相次ぐ中で、高額品を扱う意外な業界が沈黙を守っている。輸入車だ。

 「為替変動に一喜一憂して、やみくもに価格転嫁することはない」と明言するのは、メルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長だ。BMWやアウディの日本法人も同様の考えを示す。

 もちろん、輸入車だけが為替リスクを逃れられるわけではなく、各社の日本事業はいずれも影響を受けている。それでも値上げに踏み切れない背景には、自動車特有の流通構造がある。

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著者プロフィール

広岡 延隆

広岡 延隆

日経ビジネス記者

日経コンピュータ編集部、日本経済新聞産業部出向を経て2010年4月から日経ビジネス編集部。現在は自動車など製造業を担当している。これまでIT、電機、音楽・ゲーム、自動車、製薬産業などを取材してきた。

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