• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

オバマが変えた「同性婚」の是非

「文化の戦い」に最高裁は断を下すか

2013年4月10日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 アメリカで同性婚合法化が注目を集めている。6月をめどに最高裁が1996年の「結婚防衛法」(The Defense of Marriage Act=DOMA)が違憲かどうかの判決を下すことになったからだ。「結婚防衛法」は、96年に5月、ボブ・バー下院議員(共和、ジョージア州)が上程し、上下両院が可決、成立した。同年9月にクリントン第42代大統領が署名した。

 同法第2条は、「アメリカ合衆国のいかなる領土においても結婚は1人の男と1人の女による法的結合(Legal Union)を意味する」と明記。第3条では、同性同士で「婚姻関係」を結んだ者に対して、連邦政府は法的保障や保護をいっさい与えないと謳っている。("Defense of Marriage Act," United States Government Printing Office, 9/21/1996)

結婚の定義を規定した96年の「結婚防衛法」

 具体的には、たとえ同性同士の「結婚」を州政府が認めたとしても、連邦政府はこれを結婚とは認めない。従って、異性同士で婚姻関係を結んだ市民に対して連邦政府が提供する税法上、社会保障制度上の優遇措置を、異性同士のカップルにはいっさい適用しない。これらの優遇措置の対象には、無論、夫婦間で生活財を共有する権利や遺産相続権などが含まれる。

 平たく言えば、「同性同士が愛し合い、同棲し、夫婦関係を結ぼうとも、連邦政府はいっさい婚姻関係にあるとは認知しない。その2人あるいはどちらかが国家公務員として連邦政府機関に勤務しようとも、通常の夫婦が受けるような税制や医療保険の優遇措置などは一切与えない」という法律なのだ。

 現在アメリカの同性愛者は400万人と推定される。この法律はアメリカにとっては大きな足かせになっている。("Gay Population In U.S. Estimated At 4 Million, Gary Gates Says," Associated Press. Huffpost Healthy Living, 4/7/2011)

既に8州とワシントン特別区で同性婚は異性婚と同等の扱い

 ところが、州レベルで見てみると、同性婚を合法とする州は東部州を中心に年々増えている。現在では、マサチューセッツ、コネチカット、アイオワ、バーモント、ニューハンプシャー、ニューヨーク、ワシントン、メリーランド8州とワシントン特別区が認めている。それぞれ州最高裁が同性婚を合法とする判決を下したり、州議会が合法とする法案を可決・成立させたり、住民投票で合法と決めたりしている。

 こうした動向の中で、カリフォルニア州は姿勢を二転三転させている。2008年に州最高裁が合法と認めたにもかかわらず、その後、行われた住民投票は「同性婚禁止の提案」を可決した。州最高裁はこの住民投票を有効とみなし、同性婚は不法状態に逆戻りとなった。

 まだ続きがある。10年には、サンフランシスコの連邦地裁がこの住民投票を無効とする判決を下した。これに対して、控訴する動きが出ている。現在、同州では「同性婚は合法だが、実務上新たな同性婚の登録はできない状態」が続いている。("California recognize some out-of-state gay marriages," Kathy Roberson, Sacramento Business Journal, 10/12/2009)

ニューヨークで起きた同性婚カップルの遺産相続

 連邦最高裁は今、ニューヨーク州グリーニッチ・ビレッジ在住のエデス・ウィンザー(83)が上告した案件を審理している。

 ウィンザーさんは、元コンピュータ・システム・コンサルタントの女性。67年にシア・スパイアという女性医学博士と同棲し始め、07年にカナダで結婚した。ところが同博士は09年、肢体マヒ硬化が悪化して死亡。遺書などで、死後は、同博士名義の土地家屋をウィンザーさんに譲渡すると約束していた。ところがいざ、遺産相続手続きをしようとしたところ国内歳入庁(IRS)が待ったをかけた。この土地家屋を譲り受けるなら36万3000ドルの譲渡税を払えと言い出したのだ。

 IRSは連邦政府機関。当然DOMAをタテに2 人の婚姻関係を認ない。したがって、土地家屋の相続も認めない。単なる譲渡にすぎないというわけだ。ウィンザーさんは譲渡税を払わざるを得なかった。

 ウィンザーさんと彼女を支援する米自由人権協会(ACLU)は10年11月、この措置を不服とし、米連邦地裁に税金の払い戻しを求める訴訟を起こした。地裁は12年6月、IRSに対し譲渡税をウィンザーさんに払い戻すよう命じたが、むろんIRSは従わない。ウィンザーさんは高裁に控訴すると同時に、その判断を待たずに連邦最高裁に裁量上訴(Petition of certiorari)した。今回の審理はそれを受けてのものだ。("Window Petitions DOMA Case to the Supreme Court," Justin Snow, Metroweekly, 7/16/2012)

コメント2件コメント/レビュー

とてもわかりやすい記事を有難うございました。ただ、「黒人」でなく、アフリカ系米人と書いていただけたらもう少し知識系の記事として良かったのではないでしょうか?結局センサスで自分を「アフリカ系」と見なしている人の統計データですし、日本向けの記事なのでわかりやすくしたのかもしれませんが。肌の色も混血で様々でしょうし。白人も「コーカサス系」でお願いします。(2013/04/11)

「ニュースを斬る」のバックナンバー

一覧

「オバマが変えた「同性婚」の是非」の著者

高濱 賛

高濱 賛(たかはま・たとう)

在米ジャーナリスト

米政治・経済・社会情勢を日本に発信している。1969年、米カリフォルニア大学卒業、読売新聞社に入社。米特派員、総理官邸・外務省担当キャップ、デスクを経て、調査研究本部主任研究員。98年からUCバークレー校上級研究員。同年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

とてもわかりやすい記事を有難うございました。ただ、「黒人」でなく、アフリカ系米人と書いていただけたらもう少し知識系の記事として良かったのではないでしょうか?結局センサスで自分を「アフリカ系」と見なしている人の統計データですし、日本向けの記事なのでわかりやすくしたのかもしれませんが。肌の色も混血で様々でしょうし。白人も「コーカサス系」でお願いします。(2013/04/11)

同性婚の風景には子どもがいない。だから反対。(迷亭寒月)(2013/04/10)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

夢の実現にあたっては強く「念ずる」。そうした心構えを支えにビジネスの世界の荒波を渡ってきました。

後藤 忠治 セントラルスポーツ会長