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2015年以降も、日銀は国債買取を急にはやめられない

金融政策の出口戦略を考える(2)

2013年5月9日(木)

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 日本銀行は2013年4月4日の政策委員会・金融政策決定会合において、「「量的・質的金融緩和」の導入について」(以下「政策文書」と呼ぶ)という政策方針を公表し、マネタリーベースを2013 年末に200兆円(うち長期国債140兆円)、2014 年末に270兆円(うち長期国債190兆円)にすることを決定した――マネタリーベースの2012 年末実績は138兆円(うち長期国債89兆円)。この政策文書の「1.(1) ②長期国債買入れの拡大と年限長期化」は、以下の方針を示している。

 「イールドカーブ全体の金利低下を促す観点から、長期国債の保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。また、長期国債の買入れ対象を40年債を含む全ゾーンの国債としたうえで、買入れの平均残存期間を、現状の3年弱から国債発行残高の平均並みの7年程度に延長する」

 この「マネタリーベースを2014年末に270兆円(うち長期国債190兆円)」とし、「買入れの平均残存期間を7年程度に延長する」という方針は、まさに「異次元の緩和」と言える。この点に異論はない。だが、金融政策の出口戦略(=マネタリーベースの縮小)を極めて困難にする可能性が高い。この点について、前回のコラムでも指摘したが、今回はもう少し詳しく考察してみよう。

 まず、2014末にマネタリーベースを270兆円に拡大するため、以下の図表1のとおり、日銀は大量の長期国債を市場から買い入れる方針である。

 2012 年末に日銀が抱える長期国債は89兆円。これをネットで毎年50兆円ずつ拡大し、2013 年末に140兆円、2014 年末に190兆円とする。その際、日銀は市場からグロスで毎年約80兆円の国債を買い入れる必要がある。

 というのは、日銀が抱える現在の長期国債(89兆円)の平均残存期間(デュレーション)は約3年であり、毎年約30兆円(=89兆円÷3年)が償還となるからである。厳密には、この償還分がすぐに現金償還されることはなく、いったん、財務省が発行する1年物の割引短期国債に乗り換える。だが、この割引短期国債も1年後に現金償還されるのが通例であることから、最終的に現金償還されるのは変わらない。

 このため、長期国債をネットで50兆円拡大するには、日銀はグロスで約80兆円(=50兆円+30兆円)を買い入れる必要がある。上記の政策文書で、日銀が「毎月の長期国債のグロスの買入れ額は7兆円強」(年間で84兆円)と記載しているのは、これが理由である(注:これまで日銀は毎月の長期国債のグロスの買入額を4兆円程度としていた)。

図表1:マネタリーベースと長期国債の推移(単位:兆円)
(出所)日本銀行

 この日銀のグロスで84兆円の買い入れが国債市場に及ぼす影響は大きい。財務省が2013年1月29日に公表した国債発行計画によると、長期国債の市中発行額は約127兆円(=国債の市中発行額156.6兆円から短期国債30兆円を除いた値)。日銀は市中発行額の約70%(=84兆円÷127兆円)も買い入れることになる。

 この状況を指して、「『池の中の鯨』となった日銀」という表現が一時メディアを駆け巡った。当初は長期金利の乱高下を招いたことから、国債市場でサーキット・ブレーカー(価格が大幅な変動を起こした時、相場を安定させるために発動する措置をいう。値幅制限や取引中断の措置が取られるケースが多い)が数回発動された。

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「2015年以降も、日銀は国債買取を急にはやめられない」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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