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3Dプリンターは本当に日本の救世主なのか?

新ビジネスを生み出す力がなければ宝の持ち腐れ

2013年6月5日(水)

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 このところ3Dプリンターに関する報道を数多く目にするようになってきました。多くの報道で言われているのは、日本のものづくりが3Dプリンターでますます発展するという筋書きです。

 確かに日本の得意とする緻密なものづくり、それも精密な部品の製造技術としての応用の道は数多くあるでしょう。私もこの方向性は取りあえずどんどん進めていってほしいと思っています。また進めなければ世界の中で後れを取ることになりかねません。3Dプリンターは日本だけではなく、世界のライバルたちにも恩恵をもたらしているのですから。

 しかし私にはこれらの論調で少々気になることがあるのです。勇ましい掛け声が聞こえています。その多くが日本のものづくりは3Dプリンターというツールを得てますます発展するというものだというものです。本当でしょうか。

 ほとんどの記事は、日本が今まで得意としていたものづくりが3Dプリンターという強い味方を得ることで、さらに磨きがかかりブラッシュアップするというものでです。これで何が不都合なのですかといわれそうですが、私としては少なからず危険な方向性を感じています。その理由には二つあるのですが、詳しく述べていきましょう。

既存技術のブラッシュアップは大事だが

 まず一つ目です。例えば先日、ある報道に3Dプリンターが取り上げられていました。これを例に説明しましょう。

次世代3Dプリンター開発、産官学でIHI・産総研など5年で 造形速度10倍、車の鋳物部品安く
(2013/5/31付日本経済新聞 朝刊)

 この記事は、鋳造技術への応用について書かれています。今までできなかったものができるようになるのではなく、3Dプリンター技術を使うことで鋳造部品が今までより早く安く作れるようになるというものです。

 この記事では鋳造物を取り上げているのですが、これと同様に3Dプリンターに関する多くの報道で取り上げられているのは日本が得意とする部品の製造についてであり、つまりコンシューマ製品製造会社への部品供給というB2Bビジネスにおける日本の優位を加速するというものです。

 確かにこの方向性は間違ってはいないでしょう。国際分業体制、それも東アジアでの分業体制の中で、ここは日本が得意とするところであり、間違っていないどころかこれを推進していかないで放っておけば、韓国や台湾といったキャッチアップビジネスモデルを得意とする国々がその距離を縮めてくるでしょう。なんといっても3Dプリンター技術は日本だけの技術ではないのですから。

コメント5件コメント/レビュー

米国の国策ですね。米国の技術が一番を売り込んでくる。それ以上のものはありません。海外には日本を超える有望な技術が多数あってその技術導入をして商品を作り輸出するのがよいという、リスク回避、後追いが本能的に身についた主体性のない人々や海外の学会などでの評価だけを気にする研究者の戯言に感じます。(2013/06/11)

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「3Dプリンターは本当に日本の救世主なのか?」の著者

生島 大嗣

生島 大嗣(いくしま・かずし)

アイキットソリューションズ代表

「成長を目指す企業を応援する」を軸に、グローバル企業から中小・ベンチャー企業まで、成長意欲のある企業にイノベーティブな成長戦略を中心としたコンサルティングを行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

米国の国策ですね。米国の技術が一番を売り込んでくる。それ以上のものはありません。海外には日本を超える有望な技術が多数あってその技術導入をして商品を作り輸出するのがよいという、リスク回避、後追いが本能的に身についた主体性のない人々や海外の学会などでの評価だけを気にする研究者の戯言に感じます。(2013/06/11)

生島様の今回の論評は日本の経済成長の限界の本質を的確に説明だれていると思います。私は3Dプリンターの存在を20数年前から知っていますが、それが国内で活躍しているという話を一度も聞いたことがありません。海外で話題になってマスコミが騒ぎだし国の金を引き出す材料として研究機間等が動き出したため、霞が関の官僚がその話に載って来ただけの事でしょう。3Dプリンターは単純には新しい工作機械が登場したに過ぎません。従い、生島様のご意見のようにビジネス構想次第でしょう。しかし、その本命の構想は日本からは出て来ないでしょう。下手したら、日本ならではの匠の技でのモノづくりが誰でも出来るように様になるかもしれません。日本は欧米の技術を真似しながら改良し発展してきた国であることを忘れてはなりません。AppleやGoogleを生み出せる国では有りません。そこを割り切って新た展開を考えるべきだと思います。(元通信システム技術者62歳)(2013/06/05)

何時の時代も 新技術先端技術は求められる。但し多くは物にならず聞かなくなる。新技術を囃す人は、名を上げたい大学準教授や技術の目利きはできない市場関係者である。当業者は長所も欠点も判るので、賢い人は特許戦術も考えて既に利用している。3D印刷技術は形状を作るには適する、しかし内部の分子構造や結晶の高次構造を作る所までには遠い。従って、製品の強度等の機能発揮は困難である。金属に限らず機械部品には限界がある。しかし鋳物中子やミクロ回路には既に応用され始めている。(2013/06/05)

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三品 和広 神戸大学教授