• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「安倍総理、言ったからには100%解禁を」

ケンコーコム後藤社長がそれでも危惧する医薬品ネット販売の“骨抜き”

2013年6月10日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 安倍晋三首相が6月5日、成長戦略に関する講演で一般用医薬品のインターネット販売を認めた。ケンコーコムとウェルネットの2社が販売権の確認を認めた最高裁の判断から約5カ月。厚生労働省は11回の検討会を開いたが、賛成派と慎重派は平行線をたどり結論が先送りとなっていた。安倍首相のコメントを受けて急きょ海外出張を取りやめたケンコーコムの後藤玄利社長に、医薬品ネット販売の将来について聞いた。

(聞き手は西雄大)

後藤玄利(ごとう・げんり)1967年2月大分県生まれ、89年3月東京大学教養学部卒、89年4月アンダーセンコンサルティング入社。1994年5月同社退社。1994年5月うすき製薬入社。同年11月ヘルシーネット(現ケンコーコム)を設立。代表取締役に就任し現在に至る。(写真:北山宏一)

安倍晋三首相が医薬品のネット販売を解禁すると表明した。

後藤 安倍首相のコメントは英断だと思う。だがきちんと決まるまで分からない。第1類(副作用など特に注意が必要なものや、新規の医薬品)の一部を除いた99%が解禁されるという話もあるからだ。

 99か100か。たった1%だが差は非常に大きい。たった1%でも規制が残るということは、「ネットより対面販売が安全だ」という考え方を承認することにつながるからだ。

 成長戦略なのに、なぜ成長が横ばいの大衆薬の議論があるのかという人もいる。だが、これは薬だけの話ではない。電子処方箋、カルテ、生体チップがある。イノベーションが起こっていく。情報革新に伴ったイノベーションを日本だけ取り入れないのはあり得ない。

 今後、これらを活用した新サービスが出てきた時に、官僚に「対面じゃないから危ない」という「魔法の杖」を使わせたくない。既存業者や厚労省が新サービスを食い止めたい時に、魔法の杖で切り捨ててしまいかねない。前例主義の官僚に魔法の杖を与えてはならない。だから「100%」にすごくこだわっている。100かゼロしかあり得ない。これは薬に限った話ではない。さまざまな業界にも波及する問題だと思う。

最高裁勝訴後も議論は空転

対面販売もネット販売も同じ土俵で議論すべきだと。

後藤 そうだ。リスクが高い商品をどう販売するのが安全かという議論には乗れる。処方箋薬に戻すのか、店頭も含めて売り方を見直すのか。だがネット販売だけを禁じるのはあり得ない。

 厚労省の動きを見ていると、対面販売の原則をどうしても譲りたくないと考えていることがよく分かる。

 全面解禁によって何でも売れるようになるが、安全に販売する体制づくりがもっと重要だ。きちんとルールを作らないと長続きしない。何か問題が起きてしまうと「やっぱり危ないじゃないか」と蒸し返されてしまう。

厚労省が開いた検討会は11回も行われてきた。議論がまとまらなかった理由は何か。

後藤 賛成派と慎重派の意見が平行線をたどったのは、販売と効能のリスクはそれぞれ別物で、別々に議論しなければならない、という原則が理解されなかったことが大きい。つまり、副作用があり、効能上のリスクが高い第1類の薬品だからといって、必ずしも販売のリスクが高いとは限らないということだ。

 例えば第1類よりも効能上のリスクは低いとされる指定2類の咳薬。この中に含まれる「コデイン」は薬物乱用の危険性がある。大量に服用すると乱用につながる可能性が高い。中高生が簡単に買えてしまうのが問題だ。この場合、効能のリスクは低くても、販売のリスクは高いということになる。

 こうした一般用医薬品は年齢や販売個数の制限を厳しくする必要がある。ネット販売は年齢確認が甘いという指摘は良いと思う。だが中高生が買えないようにクレジットカードでしか買えないといった解決策はある。

コメント13件コメント/レビュー

「ドラッグストアがあるじゃないか」という、そのドラッグストアが規制緩和の賜物だということを忘れない方がいいですね。イノベーションは現在の延長線上にはありません。今現在「到底思えない」ことを出現させるがためにどうしたらよいか、そういうことです。規制緩和の意味が分かってない大人が多いんだな、と改めて思いました。(2013/06/11)

「ニュースを斬る」のバックナンバー

一覧

「「安倍総理、言ったからには100%解禁を」」の著者

西 雄大

西 雄大(にし・たけひろ)

日経ビジネス記者

2002年同志社大学経済学部卒業。同年、日経BP社に入社。日経情報ストラテジー、日本経済新聞社出向、日経コンピュータ編集部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部記者。電機、ネットなどを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「ドラッグストアがあるじゃないか」という、そのドラッグストアが規制緩和の賜物だということを忘れない方がいいですね。イノベーションは現在の延長線上にはありません。今現在「到底思えない」ことを出現させるがためにどうしたらよいか、そういうことです。規制緩和の意味が分かってない大人が多いんだな、と改めて思いました。(2013/06/11)

一番最初のコメントにあるように実際に薬を購入する人達にどんなメリットがあるのかもっと発信していないと支持は得られない。そのことにこの3年間まったく気づいていないということは、これからもダメということだろう。△最高裁判決もべつに薬をインターネットで売ることを認めた訳ではないだろう。省令での規制が認められなかったという判決ではなかったのか。それをあたかもインターネットで薬を売る権利を認められたような発言をすることは、信用できないという印象をもつ。結局自分が儲けるためだけにやっているとしか見えない。薬害が発生しても最後まで裁判で戦うタイプだろう。そのために被害者がどんなに苦しんでも気にしないだろうな。(2013/06/11)

規制でがんじがらめだった「タクシー」業界の規制を少しなくしたら、、、、果たして業界が発展し、全体の売り上げが伸びたでしょうか?不景気でタクシーに乗る人が減っているのに、規制緩和したらどうなったか。規制=悪、規制緩和=善という「妄想」に囚われている間は、正しいマクロ経済政策はわからない。デフレ20年でも、まだ夢から覚めないのか?(2013/06/11)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

お客様が低価格に慣れてきている。

片岡 優 ジェットスター・ジャパン社長