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社会保障の抜本改革こそ、参院選の争点に

2032年に財政は限界に達する?!

2013年7月11日(木)

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 参院選が始まり各党が激しい論戦を展開中である。今月21日の投票でアベノミクスに「審判」が下る。

 ただし、今回の選挙は、2014年と15年に消費税を段階的に5%引き上げる判断を含め、有権者が安倍政権に3年間の「白紙委任状」を渡すか否かを問う選挙といっても過言ではない。特殊ケースを除き、それ以降の3年間(2016年まで)は国政選挙がないからだ。

アベノミクスが成功しても社会保障改革は不可欠

 問題はその先だ。アベノミクスの成否にかかわらず、2050年の日本を見据えた場合、我々は逃げることができない「厳しい現実」に直面する。それは、急速に進む「人口構造の高齢化」である。

 国立社会保障・人口問題研究所の推計(出生中位・死亡中位)によると、日本の総人口は2010年の1億2806万人(国勢調査)から、2030年に1億1662万人となり、2050年には1億人を割る(図表参照)。その間(2010年→50年)、65歳以上の高齢者は、2948万人から3767万人に800万人近くも急増する。

図表:わが国の総人口の長期的推移(単位:千人)
(出所)国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」から筆者抜粋

 このため、現在のところ、毎年1兆円超のスピードで増加している社会保障費(年金・医療・介護)の膨張は、その抑制を図らない限り今後も継続していく。しかも、日本財政(国の一般会計)の歳出(約90兆円)は、その半分程度しか税収で賄えていない。残りは次世代への借金(=負担先送り)で賄っている状態である。

 現状のままでは、(1)アベノミクスの成否にかかわらず、政府債務(対GDP)が急速に膨張していくのは明らかだ。(2)早急に財政・社会保障の抜本改革を行わない限り、近い将来、財政は限界に達する可能性が高い。

 まず、(1)の「アベノミクスの成否にかかわらず」について、その理由は、拙書『アベノミクスでも消費税は25%を超える』(PHPビジネス新書)やこの連載コラムの「2%インフレ実現でも消費税率32%」で説明した通りである。

 もし日本経済がデフレを脱却し、2%インフレを実現した場合でも、段階的に消費税を増税するケースでは、ピーク時の消費税率は32%にも達する可能性が高い。これは、米アトランタ連銀のブラウン氏らの研究(Braun and Joines, 2011)の試算が明らかにしている。

 しかも、この試算は、以下に挙げる相当厳しい「政府支出削減プラン」の実行を前提にしている――「高齢者の医療費窓口負担を20%とする」「年金給付の現役時年収半額保証をはずす」「政府の経常経費を1%削減する」。それでも、ピーク時の消費税率は32%に達するのである。これは、かなり厳しい前提である。

5%増税の延命効果は4年

 次に、(2)の「早急に財政・社会保障の抜本改革を行わない限り、近い将来、財政は限界に達する可能性が高い」について考えてみよう。この参考となるのが、改革を何も行わず、消費税税率を据え置いたシナリオである。実は、上述のブラウン氏らの研究(Braun and Joines, 2011)は、こうしたケースについても分析している。

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「社会保障の抜本改革こそ、参院選の争点に」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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