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日本企業が忘れている切り札、「アンチダンピング」

貿易自由化と保護貿易は両立できる

2013年7月17日(水)

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 日本は7月からTPPの交渉に参加する。また、それに先立ち6月には日中韓自由貿易協定(FTA)の準備会合が持たれ、日EU間の経済連携交渉も6月下旬から7月上旬に開かれるなど、日本はFTAへの道に本腰を入れようとしている。

 しかし、そこで問題となるのが日本のFTAの質の低さだ。昨年の通商白書によると、日本の締結した経済連携協定(EPA)に基づく貿易自由化率は、品目別ベースで見ると86~87%であり、他の先進国の95%以上に比べると立ち後れが目立つ。自由化が原則のEPAでありながら、日本が多くの例外品目を要求することが原因だ。このため、相手国からも自由化を強く引き出せないのである。

 中途半端なFTAをいくら積み上げたところで、質の良いFTAを結んだ国々との格差が広がるだけだ。これは、日本の輸出企業にとっては命取りになりかねないものがあり、ひいては日本経済全体の弱体化を招く恐れがある。

日本の貿易政策に対する感覚は19世紀

 しかし、強硬な保護主義圧力に配慮しなければそもそもFTA自体が結べないという問題がある。例えば、私の勤務する小樽商科大学のある北海道では、TPPに関し、農業団体だけでなく北海道市長会の決議でも「米、小麦、でん粉、砂糖、牛肉乳製品等の重要品目を関税撤廃の対象から除外すること」とし、場合によっては「交渉から撤退」を要求している。

 しかし、ニュージーランドのティム・グローサー貿易相が「どの分野も自由化から完全に除外すべきでない」と牽制するなど、世界の目は厳しい。また、現在難航している世界貿易機関(WTO)の農業交渉では、高関税品ほど関税率を大幅削減し、その例外扱いできる重要品目は有税品の4~6%と合意されている。日本の有税品は1000品目もあるため、米関連17品目と乳製品47品目で既に例外枠60は一杯になってしまう。つまり、日本の重要品目は数が多すぎ、現在のような保護水準を将来にわたり維持し続けることは、国際通商交渉の流れから見てどだい無理なのである。

 日本は重要品目を死守し世界の自由貿易の流れから取り残されて行くのか、保護主義圧力を押しのけ自由貿易の舵を切るのか?!….という二者択一の設問は、19世紀的とも言えるような古い感覚だ。20世紀初頭には、このような解決策をとらなくていい方法が編み出されている。それは世界の常識でありながら、日本ではあまりになじみがなかった。その方法とは、「貿易救済措置」である。

コメント6件コメント/レビュー

TPP対策は「株式会社の農地所有全面解禁」と「個人農家の兼業全面禁止(兼業農家は宅地並み課税とする)」の2つだけで十分。5年も経たずに「3ちゃん農家の淘汰」により農業の6次産業化が完成する。(2013/07/18)

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「日本企業が忘れている切り札、「アンチダンピング」」の著者

柴山 千里

柴山 千里(しばやま・ちさと )

小樽商科大学教授

1993年学習院大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学、日本学術振興会特別研究員を経て、94年小樽商科大学商学部助教授。専門は国際貿易論。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

TPP対策は「株式会社の農地所有全面解禁」と「個人農家の兼業全面禁止(兼業農家は宅地並み課税とする)」の2つだけで十分。5年も経たずに「3ちゃん農家の淘汰」により農業の6次産業化が完成する。(2013/07/18)

公平な競争の場を作るのがTPPであれば、参加しないという選択肢もあるでしょうが、自国に有利な、ライバル国に不利な条件をルール化させようと凌ぎを削る場がTPPではないでしょうか。後から参加しても不利な条件を押し付けられるだけ。参加し無い事でリスクがなくなるという考え方が出来る事が不思議でなりません。(2013/07/17)

「日本の貿易政策に対する感覚は19世紀」は正に的を射た表現だと思う。弱いエリアに関しては高い関税や非関税障壁で輸入をし難くする。それが日本全体の貿易にとってどれだけの得失があるかを数量化さえしていないのでは無いかと思われる感情的な要素をそのまま国の制度にしてしまっている。「自由貿易」とは本来、お互いの強味を活かし合う為の制度と言える。それなのに自国の弱点を守る事に汲々としていたら、折角の強味さえ殺し兼ねない事が分かっていない。例えば、米の自由化を阻止する為に、相手国が日本からの車の輸入関税を残す事に同意してしまう。1兆円のビジネスを守る為に10兆円のビジネスを失う事でバランスを取っているという非常に馬鹿げた事を日本政府ややって来た。私はどんなに農業を自由化しても、日本の農業は絶対に無くならないと思っているが、「TPPを締結すれば日本の農業は壊滅するだろう!」と警鐘を鳴らす人は少なくない。彼等の頭には何の対策も無いからその様に結論づけるのだろう。新大陸の巨大とも言える大規模農業に西欧各国の農業も十分に対抗している。「あれもこれも全部国内に残す」方針では絶対に成功しない。例えば米であれば、「10年後までに経営規模を10Hr以上にした農家/会社には『稲作奨励金』を支給するが、それ以下の米農家には一切補助しない。経営規模の拡大は農地の売買ではなく、農地利用権の集約によって実現。」だ。野菜や果物も「安全で美味しい」だけで桁違いに高い値段で皆が売ろうとする事には無理がある。「最高級品」はほんの一部で十分だ。経営規模の拡大だけでなく、どうすれば生産物価格を安く提供出来るか、という事に関して日本の農業は工業製品と比べると大きく遅れている。果実農家の「子供を育てる様に手をかけている」という表現は、日本の農産品のコスト高の主要因とも言える。「大切に育てる」事と「手作業で長い時間掛ける」ことは同義ではない。諸外国ではどの様に「安くて美味い」農産物を提供しているのか、研究すらされていないのでは無いかと疑いたくなる。「果物1つ1つに袋を被せる」様な作業は、極一部の最高級品に限定し、その他はもっと「如何に安く提供出来るか」に集中すべきだ。その上で規模の拡大が必要ならそうすれば良いし、日本の地形で力を発揮し易い農機が必要ならその様に動けば良い。(2013/07/17)

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