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黒人少年射殺事件評決で浮き彫りになった「もう1つの人種戦争」

オバマ大統領は黒人の怒りをどう鎮めるのか?

2013年7月19日(金)

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ヒスパニック系白人被告無罪の根拠は正当防衛

 米フロリダ州第18巡回裁判所陪審員(6人)は7月13日、黒人少年射殺事件の被告である、ヒスパニック系白人の元自警団長に無罪評決を下した。フロリダ州法の「Stand Your Ground Law」に基づき、「正当防衛」を認めたのだ。「Stand Your Ground Law」は、「身の危険を感じたら銃撃できる」と定めた州法だ。この評決に対して黒人市民は猛反発。評決を支持するヒスパニックや保守派白人との間で緊張状態が続いている。

 アメリカにおける「人種対立」と言えば、「白人対黒人」の対立がすぐ頭に浮かぶ。だが、今回の事件では、黒人と、その黒人に敵意を抱いているとされるヒスパニックとが対立した。マイノリティ(少数民族)とマイノリティが争う“新たな人種戦争”と言える。

 殺されたのはトレイボン・マーティン君(当時17歳)。雨の降る真夜中、近くのスーパーで菓子を買った後、高級住宅地の一角にある父親の愛人宅に戻ろうとしていたところ、事件に遭遇した。頭からフードをすっぽりとかぶっていた。

 射殺したのはボランティアで自警団長をやっていたジョージ・ジマーマン氏(29歳)。父親がドイツ系、母親がペルー出身のヒスパニック。風貌はどちらかというと白人に近い。銃の所持を許可されていた。少年を「不審な人物」と見て後を追いかけ、口論の末、格闘となり、引き金を引いた。

 陪審員6人のうち5人は白人女性、1人はヒスパニック女性。黒人は1人もいない。黒人サイドはこれを不公正としているが、人口比から見て陪審員構成に法的な問題はない。第18巡回裁判所管轄地区の人口構成(2010年)は白人が33万人(78.22%)、黒人は4万7000人(11.14%)(ヒスパニックは人種としてのカテゴリーがなく、白人と黒人のそれぞれに含まれている。ヒスパニック系白人もいればヒスパニック系黒人もいる)
("Population of Seminole County, Florida: Census 2010 and 2000 Interactive Map, Demographics, Statistics, Graphs, Quick Facts," censusviewer.com)

 また米憲法修正第5条、「Double Jeopardy Clause」(一事不再理条項)の定めにより、今回の容疑である「第2級謀殺罪」(周到な準備に基づかない故意の殺人罪)では州の上級裁判所に控訴できない。
("Double Jeopardy," Legal Information Institute, Cornell University Law School)

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「黒人少年射殺事件評決で浮き彫りになった「もう1つの人種戦争」」の著者

高濱 賛

高濱 賛(たかはま・たとう)

在米ジャーナリスト

米政治・経済・社会情勢を日本に発信している。1969年、米カリフォルニア大学卒業、読売新聞社に入社。米特派員、総理官邸・外務省担当キャップ、デスクを経て、調査研究本部主任研究員。98年からUCバークレー校上級研究員。同年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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