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中国の不良債権処理は中央政府の財力で

  • 津上 俊哉

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2013年7月25日(木)

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前回は「世界経済を救った4兆元投資のツケ」はこちら

不良債権増大は不可避

 今回の銀行間金融市場の混乱を発端に、海外では不動産バブルが崩壊したり、不良債権が激増したりして、中国経済が混乱に陥るのではないかという懸念が高まっている。これから何が起こるのだろうか。

 今回の騒ぎで、金融界は「野放図な貸し出しは許さない」とする国務院の強い警告を受け取った。「追加的な金融緩和は行わない」とする当局の意思も明確だ。となれば、資金市場は今後さらに逼迫し、実効金利も上昇基調を辿るだろう。その結果、デフォルト(債務不履行)に陥る借り手が増大することは避けられないと思われる。そもそも今、少なからぬ融資が、「利払いは継続中だが、事業が生むキャッシュでは元本が償還できない」状況に陥っている。この現状は、既に軽度の不良債権状態だと言える。

 私営企業向け貸し出しが多い華東など一部地域の銀行では、最近、不良債権比率が5%を超えつつあるという。資金の逼迫が続いて、地方政府絡みのデフォルトが加わってくれば、銀行不良債権比率のさらなる上昇は必至である。銀行が組成に関わった理財産品の中にも、借り手のデフォルトに直面するものが出てくるだろう。

 こう言うと、やはり中国経済の混乱は必至だと聞こえるかもしれない。だが、筆者は「それでも、不動産や金融のバブルが大崩壊することはない」という見方である。

中央財政は「尻拭い」の余力が十分

 理由は、幸か不幸か、中国経済は今も、共産党とその下にある政府が圧倒的な支配力を有していることだ。「国進民退」の言葉が示すとおり、この10年間は公有制中心の経済体制への「本卦還り」が顕著だ。

 例えば、株式制をとっている銀行でも、支配株主はほとんど国有企業で、民間株主中心の銀行はわずか2行、そこでも経営陣の任免には共産党の力が強く働いている。野放図な投資に狂奔した地方政府も、指導者を選任したのは共産党だ。政策の失当も監督不行き届きも共産党に責任がある。

 その「共産党」が、実は「一党独裁」の看板とはうらはらに、様々な利益集団の共棲体で、内部の統率がさっぱり利かないことが問題なのであるが、施政の責任はひっきょう共産党に、最終的には中央政府と共産党中央に集中する。

 この体制下で、「貸し手の自己責任」を盾に債権者である銀行の救済を拒絶したり、地方政府を破綻させて住民が困窮するのを放置したりするわけにはいくまい。つまり、大方の損失は、最終的に中央財政が尻拭いをする定めなのである。

 その中央財政の余力が十分なことが中国の強みだ。国債発行残高はGDPの17%。昨今急増した地方政府関連の債務を加算しても、GDPの7割以下だろう。他の主要国に比べてはるかに健全で、大量の不良債権を処理しても、中央財政は持ちこたえられるだけの力がある。だから、足元の混乱を見て、また、そこにかつての日本のバブル崩壊の記憶を投影して、「中国経済崩壊」を言うのは時期尚早である。

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