• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

リー・クワンユー氏が指摘する財政破たんの先にある危機

日本は少子高齢化が引き起こす安全保障の問題を理解しているか?

2013年8月21日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 久しぶりにシンガポールを訪問して、政府高官や外交安全保障の関係者たちと意見交換をしてきた。日本の現状に対する彼らの評価はおおむね好意的だった。参院選を終えて与党が衆参両院で過半数を抑え政治が安定することと、アベノミクスによる株価の上昇を評価していた。だが、その一方で、彼らが日本を見る目がかなりシビアになっていることを実感した。彼らの意見をまとめると「正直言って、中長期的に見ると、日本の状況は厳しい」となる。

 シンガポールはかつて、日本をモデルに国造りをしてきた。それが今では、色んな方々が心配そうに「日本は非常に苦しい時代を迎える。それに対する準備ができているのか?」と筆者に尋ねてくる、彼らの目線がやや上からになっていると感じた。長らくシンガポールのモデルであった日本に対して、彼らが愛着を抱いているがゆえの懸念と言った方が正確かもしれない。

 意見交換した1人から、シンガポールの国父であるリー・クワンユー元首相の新著「One Man’s Vision of the World」を読むことを勧められた。同書は既に、シンガポールでベストセラーになっている。引退した政治家の著書がベストセラーになるなんて日本では考えにくいことだ。しかし、シンガポールにおけるリー・クワンユー氏は、実績ある政治家として今でも国民に信頼されている。さらに、世界の激流に翻弄される小国の国民にとって不可欠の世界ビジョンを持つ人物として、重宝されているのだ。

日系人さえ溶け込めない?日本社会を批判

 彼はこの著書の中で日本を突き放している。日本についての部分をこう結んでいる。「私がもし英語が話せる若い日本人なら、たぶん日本国外へ移住するだろう」。昨年9月に筆者が同氏にお会いした時、「日本人は優秀なので課題は誰もが分かっている。問題は誰も行動を起こさないことだ。日本人は敵が外にいる時は一致団結して戦うが、敵が国内にいる時は戦わない」と指摘され、苦笑するしかなかった。そして今回、著書を読んで、「同氏はついに日本を見放したのか」との印象を受けた。

 彼は、人口減少に対する日本の無策を強烈に批判している。震災の時に見せた日本人の結束力を称賛しながらも「あの震災後の対応の素晴らしさを見て私は、日本人なら人口問題を何とかするだろうと思っていた。だが今は、日本が何か対策を打てるとは思わない。日本は凡庸な国になってしまうだろう。人口が減って高齢化すれば、国全体のGDP(国内総生産)も1人当たりGDPも減っていくしかない」と言う。

 中国系、マレー系、インド系という民族集団を1つの国にまとめる一方、世界中から移民を受け入れ、人口を500万人超にまで増やしたリー・クワンユー氏の目には、日本の「極度の島国精神」は悲劇的に映るようだ。日本は、日本人と姿形や文化が比較的近い中国人や韓国人でさえも、社会に溶け込ませることができない。それどころか、DNAがほぼ同じある日系人でさえ差別してしまう。

少子高齢化がもたらす安全保障の危機

 ただし、リー・クワンユー氏をはじめとする多くのシンガポール政府高官や識者たちが本当に危惧しているのは、日本が人口規模と若さ、そしてそれに伴う経済力を失うことではない。その結果、起こるであろう日本の地政学上の国難を心配している。

コメント8

「田村耕太郎の「経世済民見聞録」」のバックナンバー

一覧

「リー・クワンユー氏が指摘する財政破たんの先にある危機」の著者

田村 耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)

前参議院議員

早稲田大学卒業、慶応大学大学院修了(MBA取得)、米デューク大学ロースクール修了(証券規制・会社法専攻)(法学修士号取得)、エール大学大学院修了(国際経済学科及び開発経済学科)経済学修士号。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

人々が働きたいという会社になるには 「働きやすさ」と「働きがい」、この2つが必要だ。

川野 幸夫 ヤオコー会長