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マニュアルが、命より優先される矛盾

最も大事なのは何かを教えずに状況判断はない

2013年8月23日(金)

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 経営者です。社員が成長しません。状況判断ができる優秀な者から辞めていきます。どこに原因があるのでしょうか。(40代男性)

 遙から

 そもそも状況判断はヒトに可能か。マニュアルの登場からつきまとい続ける現場の葛藤だ。

 思い返せば私もまた10代の頃、ハンバーガーショップでバイトした時の、いまだに後悔に苛まれるシーンがある。

今でもあの時の母親に謝りたい

 窓口で若い母親が言った。

 「子供が食べようとしたらハンバーガーを床に落としてしまった。もう一度、もらえないか」

 私の対応は、今、書くだに忌まわしい。

 「もう一度、ご購入いただけますか」

 その時の母親の、失望した表情で再度小銭を出す姿は、今だに脳裏から消えない。

 チェーン店は基本的にマニュアルの嵐だ。まず手を洗う、から始まり、さりげない営業トーク数パターン、そして金銭と商品の出入りには声を出す。

 ところが「子供がハンバーグを落とした場合」というマニュアルはなかった。外国人が「ケチャップを要求した場合」というのはあるのに、だ。

 発注と金額の発声は同時だ。困った私は客のほうを、自分のマニュアルに引きずり込んだ。

 「ハンバーガー一個出ます。〇〇円です。〇〇円レジに入ります。〇円のおつりです」と叫ぶマニュアルがあったから思考停止したのだ。

 今、大人になって思うに、黙ってそっと、ハンバーガーを母親に手渡せば済んだ話だ。今でもあの時の母親に謝りたい。

 “店長”の肩書きを持つ人物にも、あの状況判断でよかったのか?といまだに消えない疑念が残るバイトがある。喫茶店でウェイトレスをした高校時代だ。

 レジの合計金額の収支に5000円足らなかった。そこで店長は言った。

 「全体責任。ひとり1000円ずつ出して」と、5人から1000円ずつ集めて収支を合わせた。

 当時、1時間500円くらいとして、2時間の労働が無になった。

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「マニュアルが、命より優先される矛盾」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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三品 和広 神戸大学教授