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権力闘争と見るのは中国への「過大評価」

石油閥・蒋潔敏の失脚を解剖-腐敗への危機感は強烈だ

2013年9月5日(木)

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 中国共産党中央紀律検査委員会(中紀委)は9月1日、国務院国資委員会主任で、同委員会の中国共産党委員会副書記でもある蒋潔敏を党紀律違反で調査すると発表した。「国資委員会」とは「国務院国有資産監督管理委員会」の略称で、蒋潔敏は今年3月18日に当該委員会の主任に就いたばかりだ。

 中紀委とは、「党紀律に違反した者を調査する」党機関。権限は党大会の上にあり、いわゆる「中共中央」こと「中国共産党中央委員会」と同格だ。

 ここが手を着けたら最後、その党員の社会的命運は尽きる。中紀委が動く時は中国の最高指導者のグループ「チャイナ・セブン」の合議を得ているからだ。絶対に覆らない。

 蒋潔敏がいかなる党紀律違反をしたのか、その具体的な内容はこれから明らかになっていくが、「腐敗」であることに間違いはない。

 蒋は、2011年まで代表的な国有企業、中国石油天然ガス集団(China National Petroleum Corporation、CNPC)の総経理(社長)であり、かつ同集団の党委員会書記だったからだ。2013年3月までは中国石油集団(中石油)の董事長兼党委員会書記であった。いわゆる「石油閥」の首魁の一人だ。

 中国の富が国有企業に集中していることは知られているが、石油閥のそれは中国の利権集団の中でも尋常ではないレベルだ。こうした富の集中が、今話題になっている「シャドーバンキング」ともつながっている。改革開放後、国営企業は淘汰されて最終的に「国有企業」となったが、金融機関からの融資などは回収が十分に見込まれる大手の国有企業に向けられ、民間の中小企業にはなかなか回らない。そのため、シャドーバンキングが必要悪として横行していた。

 最近、中国は融資に関する規制緩和に踏み切ると同時に、国有企業に対しても「反腐敗」のメスを入れ始めた。蒋潔敏の失脚はその象徴だ。

すでに「政治の季節」は終わっている

 中国の石油閥のトップには、周永康が「いた」。
 石油閥には主として三つの系列がある。

 まず「大慶系」。
 これは中国油田の中で最大のもので黒竜江省にある。開発は1960年に始まった。

 胡錦濤政権時代の「チャイナ・ナイン(現在は7人だが、当時は9人の集団指導体制だった)」の党内序列ナンバー9、中共政法委員会(公安、検察、司法を管轄)の書記を務めていた周永康は、中国一の「石油男」でもある。

 1966年に北京石油学院を卒業後、1967年に大慶油田の技術者として派遣された。その後、遼寧省にある遼河石油で党委員会副書記に昇進し、85年に中央行政省庁の石油工業部副部長(副大臣)に就任。88年から96年まで、「中国石油天然ガス総公司」の副総経理になり、次に述べる「勝利系」のうちの山東省東営市党委員会書記へと進み、そして中国石油天然ガス総公司総経理、党委書記、国土資源部部長と出世コースを歩んだ。これらを経て中国の最高指導層グループ、チャイナ・ナインの椅子に至った。彼は本来は、江沢民一派で「あった」。

 そして「勝利系」の石油閥。
 こちらは山東省東営市を中心とした8つの市から成る大油田で、1961年開発。
 三つ目が「長慶系」。
 1970年に開発。西部の甘粛省慶陽地区長橋鎮を中心として寧夏回族自治区、内モンゴル自治区一帯を覆う。

 今般失脚した蒋潔敏は「勝利系」の人間だ。最近失脚した「勝利系」には、ほかに郭永祥(四川省人代元副主任)、陶玉春(崑崙利用総経理)、李華林(中石油副総経理)がいる。

コメント4件コメント/レビュー

歴史を見ても、中国が大きく動くときはエリートの力ではなく支える民衆の力がものをいう。沸々としていても爆発するにはまだまだ。中間層が増えて国民が二層化されていることも、大きく動くにはブレーキになる。それにしても、治安維持の予算が全額それ用に回ってるとは思えない。驚愕の額が誰かの懐に転がり込んでいるだろう。(2013/09/05)

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「権力闘争と見るのは中国への「過大評価」」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

歴史を見ても、中国が大きく動くときはエリートの力ではなく支える民衆の力がものをいう。沸々としていても爆発するにはまだまだ。中間層が増えて国民が二層化されていることも、大きく動くにはブレーキになる。それにしても、治安維持の予算が全額それ用に回ってるとは思えない。驚愕の額が誰かの懐に転がり込んでいるだろう。(2013/09/05)

いや、これは「過小評価」でしょう。政治官僚の腐敗問題は、派閥の勝ち負けというタイマンではなく、民衆による革命勃発の危険をはらんでいるということではないでしょうか。中国の歴史は国民の不満から革命に至った例が数知れず、また、最近の中東を見れば今の為政者が何を恐れているかが分かるはずです。権力闘争なら共産党政府は残るけれども革命ならすべての構造を覆しかねない、それに中国が無縁でいられるか。民衆の不満のエネルギーは計り知れず、だからこそ国防より国内の治安維持にカネを使っているという結論になるのだと思いますよ。(2013/09/05)

わかりやすい記事でした。筆者の言うことが本当であるならば、10年後の中国は、ほんの少しでも変わるでしょうか。ただ、共産党の権益と個人の権利は、永遠に相容れることはない様に思いますが・・結局、個人の権利が法できちんと担保されるかどうか、民主化できるかどうか、ですかね。(2013/09/05)

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