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中国の「微妙な軟化」の背景を解く

2013年9月13日(金)

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 9月11日、尖閣諸島が国有化されて1年が過ぎた。問題解決の糸口は見えないが、9月5日から6日にかけて、ロシアのサンクトペテルブルグで開催されたG20(主要20カ国・地域)サミットで、開幕直前、中国の習近平国家主席は日本の安倍首相と、各国首脳が待機する貴賓室で会い、非常に短い時間だが言葉を交わした。

 中国政府の発表によれば、習近平主席は中国の原則的立場を明らかにした上で、「このところ中日関係は深刻な困難に直面しており、これは私たちが目にしたくない状況である。中国側は中日間の4つの文書を基礎に、中日間の戦略的互恵関係を引き続き推進していく考えだ」と言ったという。さらに、習近平が「日本側は歴史を正視し、未来に向かうという精神に基づいて釣魚島や歴史などの敏感な問題を正確に処理し、この相違を適切に管理制御する方法と問題解決の方法を探るべきだ」と強調した。

 中国側の報道は、安倍首相が「習近平主席とこの場で顔を合わせることを非常に望んでいたし、中日関係が改善されることを心から望んでいる」と表明したとしている。

 それにしても中国の李保東・外交部副部長(外務副大臣)は、安倍首相が「G20で日中首脳の接触を持ちたい」と言ったのに対して、8月27日にはそれを一蹴したばかりだ。

 同日の記者会見の席上で李保東は「もし日本が両国首脳の会談を望んでいるのなら、二度と再び減らず口をたたいたり偉そうなことを言わず、本気で一歩を踏み出し、きちんとした態度と実際の行動により、両国関係の健全な発展を妨害するものを取り除かねばならない」と強硬な発言をしている。「今のような状況下で、われわれはどうして日本側が望むような首脳会談などできるだろうか」とダメ押しもしたと、中国政府の通信社である新華網と中国共産党の機関紙「人民日報」傘下にある「環球網」は大々的に報じていた。

 ここまで高圧的で礼を失した表現を用いて日中首脳会談の可能性を否定しておきながら、一転、中国は短時間ながら日中首脳の顔合わせを許した。この謎解きをしてみよう。

強面が軟化した理由

 それを解く謎は中国の外交戦略と複雑な国内事情にある。
 まず、シリア問題だ。

 中国は、チベット自治区やイスラム教徒が多いウィグル自治区などの少数民族地帯を抱えている。同じく民族問題に端を発するシリアの内紛に武力介入が行われることは、安全保障や社会の不安定要素を刺激するかもしれないことから、中国はオバマの「懲罰攻撃」には絶対に反対だ。

 中国がシリア攻撃を避けたい理由は、それだけではない。

 習近平はG20に参加する前の9月3日、トルクメニスタンに到着し、中央アジア4カ国への公式訪問を開始した。最初の訪問国であるトルクメニスタンは天然ガス大国で、中国との間を結んだパイプラインが2009年に完成している。今回の訪問でも両国は、「天然ガスなどエネルギー分野での協力協定」に調印したという。中国の中央テレビ局CCTVは特集番組を組み、中国にとって中央アジア諸国がエネルギー提携と安全保障上、いかに重要であるかを報道。トルクメニスタンは今や中国の天然ガス輸入量の半分を占めると解説した。

 またG20閉幕後の7日には、習近平はカザフスタンの首都アスタナにあるナザルバエフ大学で講演し、かねてからの中国の方針である「シルクロード経済ベルト」構想を提案した。これは北京からカザフスタンをはじめ、ロシアを含めた中央アジアの国々をつなぐ経済ベルトだ。エネルギー、安全保障、陸海空を結ぶ物流インフラなどの増強を指す。

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「中国の「微妙な軟化」の背景を解く」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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