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潜水艦救難と掃海で日印安保協力

2013年11月14日(木)

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 日本とロシアとの間で外相・防衛相の会談、いわゆる2プラス2が開かれた。安全保障面における日ロの関係強化に向けた新たな一歩として話題になっている。日本が閣僚級の2プラス2を開くのは、ロシアが米豪に続く3カ国目となる。

 実は、次官級ではあるものの、日本が2プラス2を続けてきた国がある。インドである。日印間では、海洋、サイバー、テロ対策の協議も行っており、安全保障面の対話が非常に活発だ。さらに、インド洋海軍シンポジウムに日本が参加している。中国が影響力を増しつつあるアフリカへの対応でも日印政策協議を行っている。

 しかも、日印の安全保障関係強化は、アメリカも強く後押ししている。アメリカとインドが9月に行った首脳会談での共同声明では、米印両国が日本との関係を強化することについて2カ所で言及している。日印連携の存在感が増しつつある証拠だ。

 このような日印間の会談が増えることは、大きな意味を持っている。両国が直面する安全保障上の問題に関して、お互いの立場を理解し、情報を共有することができる。ただ、実際の行動が伴わなければ会談の意味はなくなってしまう。関係強化につながる具体的な案件が必要だ。

 本稿では、日本とインドの海洋安全保障上の協力関係を深めるための具体策を検討する。その1つとして、潜水艦救難技術と掃海技術の提供を取り上げる。潜水艦救難技術と掃海技術は、どのような戦略的意味を持っているのだろうか。

アジアにおける軍拡の中心は潜水艦

 まず潜水艦救難技術について考える。潜水艦救難技術とは何か。それは、潜水艦が事故を起こした際、その乗員を救難する技術のことである。これがなぜ重要か。背景にはアジアで潜水艦が増加していることがある。

 図1はアジア各国の潜水艦保有数の推移を、特に南シナ海を中心に見たものである。1990年以降、シンガポール、マレーシアが潜水艦を増やしている。インドネシアは潜水艦を大幅に増やすことを計画している。フィリピン、タイも初めての潜水艦保有を検討している。さらに、日本とオーストラリアも潜水艦を増やすことを計画中である。ここから読み取れることは何か。

注:中国の潜水艦の数は減っているが、近代化と大型化を進めている。原潜を増やし、活動範囲を遠洋に拡大しつつある。
出所:International Institute for Strategic Studies, The Military Balanceなどを参照。

 潜水艦は純粋に軍事用で、災害派遣や人道支援にはほとんど役に立たない。しかし軍事用としてはとてもコストパフォーマンスが良い。海中に隠れることができるからである。敵の海軍は、隠れている潜水艦からいつどこで攻撃されるか分からないので不安になる。この不安から行動が慎重になる。つまり潜水艦は、隠れているだけで抑止力を発揮する。

 潜水艦の増強を進める日本、オーストラリア、東南アジア諸国が念頭に置いているのは、急速に近代化を進める中国と推測される。中国が急速に軍事力を増強しているからだ。中国の国防費は、同国が公表している金額だけ見ても、「過去10年で約4倍、過去25年で33倍以上の規模」になっている(『平成25年版 防衛白書』)。しかも他の国が国防費に含めている予算、例えば装備の調達費、研究開発費などを、中国の国防費は含んでいない。そのような項目も含めると、中国の真の国防費は、公表している国防費の1.5~3倍と言われる。

 これに対して周辺国は不安を募らせている。しかも、中国は2000年代末頃から「俺は強い」と言わんばかりの態度を示すようになり、周辺国の不安を助長している。

 もしこのまま中国が国防費を拡大し続けるならば、周辺各国が多少国防費を伸ばしたとしても、地域のミリタリーバランスが中国有利に大きく傾いてしまう。これを防ぐためには、周辺各国はコストパフォーマンスの良い抑止力を整える必要がある。これが潜水艦に注目するゆえんだ。

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「潜水艦救難と掃海で日印安保協力」の著者

長尾 賢

長尾 賢(ながお・さとる)

東京財団研究員

2001年、学習院大卒。自衛隊、外務省勤務後、学習院大学大学院でインドの軍事戦略を研究、博士取得。現在、東京財団と日本戦略研究フォーラムの研究員、学習院大学非常勤講師。専門は安全保障、インド

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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