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プラズマパネルのもう1つの悲話に思うこと

よい製品とは本当は何なのか?

2013年12月9日(月)

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 10月末に、パナソニックがプラズマディスプレイパネルの生産から撤退すると正式に発表しました。12月に生産を終了し、2014年3月には生産拠点の事業活動を停止するという予定です。

 そして、プラズマディスプレイに関して、もう一つ注目されるニュースがありました。11月19日、曲がる大型プラズマディスプレイのベンチャー企業である篠田プラズマが、資金調達ができずに事業を停止したとの報道が流れたのです。

篠田プラズマが事業停止 資金繰り悪化で」(2013/11/19)

 この報道では、兵庫県知事が「資金繰りに苦労されていたことは前々から知っていたが、(事業停止は)非常に残念だ。技術力そのものは世界最先端。続けられることを期待したい」とコメントしたとあります。

 実は私にはこの知事の発言がすんなりと受け取れずに引っかかていました。その引っかかりには理由があります。

事業化するだけでは何の意味もない

 知事としては、篠田プラズマの技術力を高く評価しており、応援の意も込めての発言だとは思います。しかし残念ながら、そこには日本の製造業の抱える問題が集約されているのではないでしょうか。

 私は液晶ディスプレイの研究開発に携わったことがあり、方式は違えど同じくフラットパネルディスプレイの技術者である篠田プラズマ社長の篠田傳氏に対しては、従来から親近感を持つと同時に応援したいという気持ちを持っていました。更に私事の古い話で恐縮なのですが、2005年に発行された日経BPのムック本「日経ビズテック」に掲載された「プラズマテレビ」という篠田氏の富士通時代のプラズマディスプレイ開発ストーリー記事に対して、プラズマディスプレイ開発に対する評価記事を書きました。

 プラズマディスプレイの研究開発の過程で上司も黙認する闇研を作って非公式に研究を続けたり、大学や他部署などの社内外のあらゆるコネクションを築くことで味方を得たり、篠田氏は東奔西走の活躍をされます。奮闘努力の結果、富士通でなんとかプラズマディスプレイの開発を遂行した篠田氏の努力に対して、彼の行動力を高く評価しました。

 プラズマディスプレイの事業化に対する篠田氏の働き、意志の強さ、そして人間力・行動力は、私にとってとても好感が持て、更に技術者の立場からは評価するに足る素晴らしいものだったからです。

 ただ事業化するフェーズと違い、事業化されたプラズマディスプレイを産業化し、収益の柱の育てるというフェーズに関しては、技術者の課題、技術の問題というよりも、経営層の課題であり、経営そのものが判断を担うべきものだと思います。そういう意味で富士通がプラズマディスプレイから撤退するという判断を下したのは、今から思えば経営判断として正しかったのでしょう。

 つまり事業化と経営とは、厳密には異なる考え方で進めないといけないということだと思います。

 富士通をスピンアウトして篠田プラズマを立ち上げた篠田氏は、技術者の精神を持った経営者という役割を担われたように感じました。つまり技術者魂を持った経営者です。

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「プラズマパネルのもう1つの悲話に思うこと」の著者

生島 大嗣

生島 大嗣(いくしま・かずし)

アイキットソリューションズ代表

「成長を目指す企業を応援する」を軸に、グローバル企業から中小・ベンチャー企業まで、成長意欲のある企業にイノベーティブな成長戦略を中心としたコンサルティングを行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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