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防衛費5%増ではメッセージは伝わらない

新防衛大綱、発表のタイミングは絶妙

2013年12月25日(水)

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安倍政権が12月17日、新しい防衛計画の大綱を閣議決定した。元海上自衛隊海将補の川村純彦氏は、このタイミングを高く評価する。ただし、大綱が挙げる新施策を防衛費5%で実現できるかどうかに疑問を呈する。(聞き手は森 永輔)

安倍政権が「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱」(以下、大綱)を閣議決定しました。日本の中期(5~10年)の安全保障政策の指針を示す重要な文書です。最も印象的なのはどの点でしょう。

川村 純彦(かわむら・すみひこ)
川村純彦研究所代表
1936年生まれ。
1960年に防衛大学校を卒業、海上自衛隊に入隊。
対潜哨戒機のパイロット、在米日本大使館駐在武官、航空群指令、統幕学校副校長などを歴任。
退官後、岡崎久彦研究所で副理事長、日本戦略研究フォーラムで監事を務める。(撮影:加藤 康 以下、ポートレートはすべて)

川村:2012年まで10年間続いた防衛費の削減に歯止めがかかりました。これは良い方向だと思います。中期防衛力整備計画(平成26年度~平成30年度)(以下、中期防)を見ると、今後5年間の防衛力整備に24兆6700億円を充てるとしています。これは現行の中期防に比べて約5%増です。中期防は新防衛大綱を踏まえて、今後5年間に整備する防衛力をまとめたものです。

 加えて、新しい大綱を発表するタイミングが良かったと思います。今回、安倍政権は「国家安全保障戦略」を策定しました。これに基づいて防衛戦略を定めた日本は、来年に予定される「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)の策定交渉において、大綱に示された主体的な防衛戦略を前面に出して、日米間の役割や協力のあり方を協議できます。

 中国を脅威として明確に定義した点も評価できます。中国が東シナ海に防空識別圏を設定した後、間髪入れないタイミングだったこともあり、対中抑止につながると思います。

確かに中国に対する記述が大幅に増えました。2010年に閣議決定した前回の防衛大綱は、中国に関する記述が1段落でした。しかし、今回は4段落にわたって記述しています。中国が先般発表した「防空識別圏」も取り上げて、「不測の事態招きかねない危険な行為」と指摘しています。

「関与」から「抑止」へ舵を切る時期

中国を明示的に脅威と位置づけることの是非については異論もあります。中国をかえって刺激するのではないかと。

川村:もちろん中国との話し合いは大事です。しかし、中国はアジア太平洋地域において米国と並ぶ覇権国になる意図を明確にしています。日本は、中国に「責任ある大国」になることを求める「関与政策」よりも、国際的なルールを無視する中国の身勝手な行動を抑えるため「抑止政策」に重点を置く必要に迫られていると考えます。

「覇権国になる意図」は、どこに見て取れるでしょう。

川村:今年6月、習近平国家主席はオバマ大統領に対して「広大な太平洋には〈米中〉両大国をけ入れる十分な空間がある」と発言しました。南シナ海と東シナ海の現状を力によって変更しようとする一連の行動を見ても明らかです。

 最近の例としては防空識別圏の設定が分かりやすいですね。中国が設定したのは、日本が設定しているような一般的な防空識別圏ではなく、実質的な「防空圏」です。この空域を飛行する飛行機にフライトプランを提出させる。提出先は国際民間航空機関(ICAO)ではなく中国の軍当局です。そして、中国の指示に従わない時には中国軍が「防衛的緊急措置」を行うと警告している。これは公海上の空域で許されざる行為です。

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「防衛費5%増ではメッセージは伝わらない」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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