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だから若者はだまされる

問題は無知につけ込む大人のほうだ

2013年12月27日(金)

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どんな仕事が自分に向いているのか。いまだに分かりません。企業に勤めるのが向いているのかも分かりません。(20代女性)

 遙から


 「非正規雇用でも夢はいくらでも実現できる。未来は君たちにかかっている。起業家たちはおおいに他の若者たちのロールモデルとなってほしい。我々年配者の未来も若者に委ねなければならないのだから、おおいに夢を実現して起業してくれたまえ」

 大企業の社長のこんな発言に、若者たちが目をキラキラさせている姿を見る機会があった。

 無知というのは恐ろしい、と、私が感じた瞬間だった。

貧困と隣り合わせだと気づいていない

 不景気を理由に、非正規雇用枠が増え、定着して久しい。非正規そのものは昔から「パートのおばちゃん」の光景が目になじんでいる。その分問題意識もないまま「そんなもんだ」と社会は見過ごしてきたし、おばちゃん自身も「こんなもんだ」とせっせと働いてきた。

 だが大卒男子も非正規の割合が増えた。昨今の「若者」を取り上げた著作を読むと、将来の不安定さをよそに若者自身は「金儲けに執着はない。自分らしい起業をする」という。

 けっこうな話だ。だが、細々なりにも起業し安定した利益を上げるのは並大抵のことではない。

 しかし、メディアは少数の若者起業成功者を「未来へのヒント」として提案する。

 夢があれば食っていけるのか? 私の答えは、ノーだ。

 夢はあったほうがいい。私もまた芸能界という“夢”で生きる決断をした一人だ。

 だが、当時の仲間たちは誰一人、芸能界では生きていない。いびつに広い裾野から幾人かの成功者が生まれる。「夢で食べられる人」だ。

 私はちなみに成功者ではない。芸能界だけでは食べていないから。ただ、撤退していない、というのみ。それも「今のところ」という保証なしの状態。

 そもそも夢を見るのが特権の若者に、将来の不安に気づいてもらうこと自体不可能なのだろう。

 彼らの多くが「今に満足している」というデータは、親の経済力が背景にあるはずだ。このまま自立できなければ、いずれは貧困に直面することに、まだ気づいていない。

 その「気づかなさ」をいいことに、これほどの非正規雇用を生み出し、利用している企業側から「おおいに起業してくれたまえ。我々の老後のためにも」と言われ、「そんな手前勝手なこと知るかっ」と怒る若者は誰一人いない。ゼロだった。

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「だから若者はだまされる」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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