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「量的緩和」の本質は「国債利払いの抑制」

日銀の総資産(GDP比)は2016年に80%超へ

2014年1月9日(木)

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 1965年11月19日の第2次補正予算で、政府は戦後初めて「特例国債」を発行した。同年も含め、ちょうど50年目の節目に当たるのが「2014年」である。

 1965年の特例国債は、約50年前(1964年10月)の東京オリンピック開催に向けた大規模投資や消費が消失し、いわゆる「昭和40年不況」に陥り、税収が一気に低迷したことが原因で発行することになった。奇しくも、2020年には再び東京オリンピックが開催される予定だ。

 道路や橋といった社会資本を整備するために発行する国債を「建設国債」、社会保障費などそれ以外に充当するための国債を「赤字国債」と呼ぶ。国家財政の基本法である財政法(1947年公布)は建設国債以外の国債発行は原則認めていない。建設国債だけは、国の借金を返済する将来世代も一定の便益を享受し得るので許されるとの考えに立つ。にもかかわらず1965年、一定期間の特例措置として財政法に対する特例法を制定し、特例国債を発行する道を開いた。これは財政法のルールを形骸化させる措置である。

 それから半世紀の間(1990年から93年を除き)、特例国債の発行は恒常化した。その結果、1965年に約5%であった政府債務(GDP比)は現在200%超の規模にまで膨張してしまった。

 2014年度予算案を見ると、消費税率引き上げに伴う税収増(約4.5兆円)や、法人税などの税収増(約2.5兆円)を見込み、一時的に基礎的財政収支(GDP比)が改善する可能性が高い。だが、社会保障給付費はここ10年の平均で毎年2.6兆円の勢いで増加してきた。このような状況では、社会保障の抜本改革(例:給付の削減)を実施しない限り、財政は安定しない。これは「増税してバラマキは許されない」の回で指摘した通りだ。

異次元緩和は財政支援でもある

 このような危機的な状況でも、現在、財政が安定している大きな理由は、日本銀行による量的緩和(アベノミクスの「異次元緩和」も含む)によって、長期金利の上昇が結果的に抑制されているためである。「量的緩和」とは「市場に供給する『貨幣量』を目標として中央銀行が金融緩和を行うこと」を言う。

 この様子は、以下の図表1から読み取れる。図表の左目盛りは「マネタリーベース」の量(中央銀行が民間金融機関に供給する貨幣量)、右目盛りは「長期金利」(10年物国債の利回り)を表す。日銀は、不景気の時は金融機関が持つ国債を買い上げ、マネタリーベースを増やして経済を刺激しようとする。その結果、国債価格は上昇し、長期金利(国債の利回り)は低下する。

図表1:マネタリーベースと長期金利の推移
(出所)日本銀行及び財務省データから作成

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「「量的緩和」の本質は「国債利払いの抑制」」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師