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「中長期試算」から読み解く本当の財政の姿

「2015年度に基礎的財政収支の赤字を半減」に黄色信号

2014年2月10日(月)

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 周知のとおり、政府は財政再建を図るため、(1)「基礎的財政収支(対GDP)の赤字を2010年度と比較して2015年度までに半減」し、(2)「2020年度までに黒字化」する目標(国際公約)を掲げている。この目標の達成に向け、社会保障・税の一体改革を進めている。今年(2014年)4月に消費税率を5%から8%に引き上げるのは、この先駆けだ。

 消費増税前には耐久消費財を中心とする駆け込み需要が起こったり、増税後には反動減が生じたりするなど、一時的に経済が混乱する。特に4~6月は、経済成長率が一時的に低下する可能性が高い。

 一方、2015年10月に8%から10%に再増税することに関しては、
・「政府は消費税率を予定通り2015年10月に8%から10%へ引き上げるかどうかを、14年12月までに判断する方針…(略)…
・12月に再増税を判断する場合は、例年12月に公表になる7~9月期の国内総生産(GDP)改定値と日銀の企業短期経済観測調査(短観)の結果を見極める」(日本経済新聞2013年10月9日から抜粋)
 という見方が大勢を占めている。今年4~6月に一時的に低下すると予想される成長率が、7~9月にどの程度まで回復するかは重要である。

 このため、政府・与党は、95.9兆円の2014年度予算とは別に、2013年度補正予算として5.5兆円の経済対策を実行し、4月から6月の変動ショックを緩和する方針だ。

 このような状況の中、今年1月20日、内閣府は「中長期の経済財政に関する試算」(以下「中長期試算」という)を公表した。同試算を表面的に読むと、間違った印象を受ける可能性がある。

 それは、「消費税率が10%まで引き上がり、経済がこのまま順調に推移すれば、2015年度までに基礎的財政収支(対GDP)の赤字を半減するという目標は概ね達成可能」という印象である。だが、このような印象には「落とし穴」がある。そこで、今回のコラムでは、同試算を読む際の留意点を3つほど指摘しておきたい。

「慎重な成長率」を元に試算すべき

 第1は、「成長率の前提」である。中長期試算は「経済再生ケース」と「参考ケース」の2つを掲載している。経済再生ケースは、アベノミクスが目標とする高い成長率(2013~22年度の実質成長率が平均で2.1%)を前提とする。一方、参考ケースは慎重な成長率(同期間の実質成長率が平均で1.3%)を前提としている。このうち、現政権が「基本シナリオ」に位置づけているのは、前者の「経済再生ケース」である。

 この「経済再生ケース」が前提とする成長率は楽観的である。ここ10年間(2003~2012年度)の実質GDP成長率の平均は0.8%程度。経済再生ケースの成長率はこれより1.3%ポイントも高い。2013年度の実質GDP成長率は2.5%程度になるとの予測が多いが、これは、2012年度に10.2兆円の経済対策(補正予算)を打ったためである。このため、経済再生ケースの成長率に対して、非現実的との指摘が多くなされている。

 他の先進国では「慎重な成長率」を前提に財政再建の議論を行うのが常識(グローバル・スタンダード)だ。民主党政権は「慎重な成長率」に相当するケースを基本シナリオに位置づけていたが、現政権はそれを元に戻してしまった。

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「「中長期試算」から読み解く本当の財政の姿」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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