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「勝負師」プーチンの次の一手に脅えるポーランドとバルト3国

ウクライナが“中間”ですめば御の字

2014年3月10日(月)

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 ロシアが、クリミア半島の実効支配を電光石火のごとく進めている。
 クリミア自治共和国議会はロシアへの編入を決議。その是非を問う国民投票を16日にも行う構えだ。ロシアはクリミアを併合するのか。プーチン大統領はウクライナをどうするつもりか。西側諸国は派兵も辞さないのか。
 欧州の安全保障事情に詳しい岩間陽子・政策研究大学院大学教授に聞いた。(聞き手は森 永輔)

ロシアのプーチン大統領が考える落とし所はどの辺りだと思いますか。

岩間 陽子(いわま・ようこ)
政策研究大学院大学教授
専門は欧州の安全保障。1986年京都大学法学部卒、94年同大学院博士後期課程を終了。98~2000年に在ドイツ日本大使館で専門調査員。2000年から同大学に勤務。2009年から現職。
(撮影:大槻純一)

岩間:プーチン大統領自身もまだ決めていないのだと思います。ただし、クリミア半島にある黒海艦隊の拠点、セバストポリ軍港を確保することは最低ラインでしょう。クリミア自治共和国議会が6日、ロシアへの編入を決議しました 。まだ国民投票など紆余曲折があるでしょうが、この目的は達することになるでしょう。ロシアにとっては「いらっしゃい」ではなく「おかえりなさい」です。

ロシアにとって黒海艦隊はなぜそれほど重要なのでしょう。

岩間:黒海の基地はロシアにとって数少ない不凍港です。ほかの多くの港は冬になると凍ってしまい、使えなくなります。またボスポラス・ダーダネルス海峡を越えればすぐに地中海に出られるという位置も重要です。地中海はこの地域の経済的な大動脈で、様々な物資が行き交っている。黒海艦隊はこのシーレーンににらみを効かすことができるのです。重要なシーレーンに影響力を与えられることは国際政治に関与する手段であり、大国の証となるわけです。

今後、起こりうる事態として次の4つのステップが考えられると思います。

1)セバストポリ軍港の確保
2)クリミア自治共和国のロシアへの併合
3)ウクライナ東部のロシアへの併合
4)ウクライナ全土を支配する新ロ政権を構築

 どこまで行く可能性があるでしょうか。

岩間:ステップ4まで進んだとしてもおかしくないと思います。クリミア自治共和国がロシアへの編入を議決したことで、ステップ2まで進むことが見えてきました。

ロシアがステップ3以上に進むとしたら、その理由は何でしょう。

岩間:ウクライナがロシアの勢力圏であることを西側に対してはっきりと示すことでしょう。

 大国主義のプーチン大統領は、ウクライナをはじめとする旧ソ連構成国に対する影響力をなんとしても確保したいのだと思います。旧東欧諸国はもちろん、バルト3国までがEU(欧州連合)やNATO(北大西洋条約機構)に加盟しています。プーチン大統領から見れば、西側がロシアの勢力圏と思っている地域でやりたい放題にしている。その手が旧ソ連構成国にまで及んできたわけです。

 真偽のほどは分かりませんが、ロシアはこう主張しています--ドイツ統一の時に西側は、NATOの範囲は旧東ドイツまでと約束した。ロシアから見れば、西側はこの約束を破っていることになります。

 ウクライナは18世紀にはロシア領に入っており、非常に近い存在です。そのウクライナがEUやNATOに加盟し西側陣営となることは、かつてキューバに社会主義政権が誕生した時に米国が感じたのと同じような脅威をロシアに与える。プーチン大統領にとって、そのような状況は何としても避けたいところです。

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「「勝負師」プーチンの次の一手に脅えるポーランドとバルト3国」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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