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追加緩和なくとも日銀の目標実現は可能

異次元緩和1年(下):ワインシュタイン・コロンビア大学日本経済経営研究所教授に聞く

  • 小栗太

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2014年3月27日(木)

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日本のエコノミストの間では黒田東彦・日銀総裁の就任2年後の目標である消費者物価の前年比2%上昇は困難で追加緩和が必要との声が多いが、本当にそうなのか。米コロンビア大学日本経済経営研究所長のデビッド・ワインシュタイン氏は日銀の目標達成は可能で、むしろ安易な追加緩和論に慎重な見方を示す。(聞き手は日本経済新聞 小栗太)

黒田日銀のこの1年の金融政策をどう評価しますか。

デビッド・ワインシュタイン(David Weinstein)氏
米コロンビア大学ビジネススクール日本経済経営研究所長。同大学経済学部長も兼務。米ミシガン大学博士。専門は国際経済、日本経済。ニューヨーク連銀シニアエコノミストや米連邦準備理事会(FRB)コンサルタントを歴任するなど、金融政策にも詳しい。

ワインシュタイン:黒田東彦総裁の下での日銀の金融政策運営は非常にうまくいった。驚異的な成功(amazing success)と言っていい。日銀はゼロ%の金利下で人々のデフレ脱却期待を醸成するという極めて難しい政策課題を背負っていた。しかし結果的に直近の消費者物価指数(CPI、総合)は前年同月比で1.4〜1.6%上昇と、日銀が掲げるCPI2%のインフレ目標をうかがう水準まで引き上げることに成功した。

もし黒田総裁が誕生していなかったら、日銀は脱デフレを実現できるでしょうか。

ワインシュタイン:正直に言って難しい。繰り返すが、黒田総裁は非常に良い政策運営を進めている。現在の政策運営の最大のポイントは、日銀が黒田総裁の下で「市場との対話」を実現してきたことだろう。その点で黒田総裁は歴代の総裁の政策運営と大きく異なる。

黒田日銀が市場の信認を得られた理由は何ですか。

ワインシュタイン: 2つの大きな変化があった。1つは安倍晋三首相が脱デフレを実現すると、はっきり宣言していることだ。そしてもう1つは、政府の方針を受け、日銀もまた脱デフレを実現させるための強力な政策運営を推進している。日銀が打ち出した目標を実現できるまで緩和をやめないという約束は市場に対して非常に効果的だ。

 過去の政府と日銀は対立ばかり続けてきた。これに対し、安倍首相と黒田総裁は非常に親密だ。長引くデフレ下で、これまでも日銀は金融緩和を実施してきたが、行き過ぎたインフレを恐れ、早すぎる緩和解除を繰り返してきた。だが黒田総裁は目標が実現できなければ、緩和を解除しないと宣言している。繰り返すが、市場との対話は非常に重要なポイントだ。

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