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三菱重工の客船はどこでつまずいたのか

収益の柱が多額の損失を計上

  • 江村 英哲

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2014年4月4日(金)

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 三菱重工業の船舶部門の戦略が迷走している。事業転換の柱だった客船事業は2014年3月期に600億円の特別損失を計上する。高収益が期待された事業はどこでつまづいたのだろうか。

 3月24日13時、三菱重工業は建造中の客船において2014年3月期の連結決算で600億円程度の特別損失を計上すると発表した。2011年に米カーニバル社の欧州法人コスタ・グループ傘下のアイーダ・クルーズから2隻のクルーズ客船を受注したものの、大幅な仕様の変更が重なって作業が遅延したことで損失が膨らんだという。

 特損は日立製作所との火力発電システム事業の統合による特別利益の上振れである程度相殺、通期の業績予想は据え置いた。しかし、船舶部門の収益に関する警戒感は払しょくできていない。客船の価格は2隻で800億円超とみられる。鉱物資源などを運搬する商船に比べて客船は価格が高く、船舶事業の収益改善の柱になるとの期待があった。

 ただ、客船は製造に手間がかかる。船体に加えてホテルやレジャー施設などの設備が必要で、非造船部分の部品点数が多くなるためだ。三菱重工の野島龍彦取締役常務執行役員は「商船で使われる部品は40万点ほどだが、客船は1200万点が必要」と説明する。

 部品点数の多さも災いして、度々の設計変更による作業の遅延や資材調達がコストの悪化につながった。これまでの造船ノウハウを生かした次世代型の省エネ客船を建造すると意気込んだ三菱重工だったが、第一歩で大きくつまずくことになった。

大幅な設計変更で遅れ

 三菱重工が客船を受注したのは2011年。国内造船業にとって最も厳しい時期だった。日本造船工業会によると、2011年に日本勢の新造船受注量は前の年に比べて35%減の768万総トンと急減した。世界の新造船受注量に対する日本のシェアは14%から13%に後退している。同時期に韓国はシェアを33%から44%に急拡大。日本の造船業が大幅に競争力を失った一因は、円相場が極端な円高方向に振れたことだった。

 2011年は米国で財政問題の先行きに警戒感が広がったことで、米ドル売り・円買い基調に拍車がかかった。同年3月17日には一時、1ドル=76円25銭まで円高が進行。日本の製造業は世界市場で苦戦に陥った。対円でウォン安となった韓国勢は機を逃さず一気にシェアを拡大した。商船の受注で韓国勢に水をあけられた日本の造船業は大いに焦る。各社は懸命に挽回策を模索した。

 三菱重工の活路は客船事業だった。日本勢では三菱重工だけが製造ができる。かつてドイツやイタリアなど欧州造船業がアジア勢に追い上げられた際、高付加価値の客船で事業を存続した例がある。大和証券の田井宏介シニアアナリストは「三菱重工は2011年の前から商船では中韓勢との競争から抜け出せないと考えており、客船事業を収益の柱にしようとしていた」と指摘する。

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