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金融政策の出口戦略:日銀の異次元緩和縮小で長期金利はどの程度上昇するか

2014年5月1日(木)

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 デフレ脱却に向けて、日銀はインフレ率2%の達成を目標に、異次元緩和を継続中だ。2015年頃の目標達成を念頭に、インフレ率(コアCPI、生鮮食品を除いた消費者物価指数)を2014年度で1.3%、15年度で1.9%に上昇させる道筋を描いている。

 このような状況の中、最近注目されたのが、消費増税後(2014年4月、税率5%→8%)のインフレ率である。2014年4月25日に総務省が公表したところによると、東京都区部において3月(増税前)に1%(前年同月比)だったインフレ率は、4月(増税後)には2.7%(前年同月比)に急上昇した。早くも、日銀は2%インフレ目標を達成したように見える。

 しかし、それは見かけ上の話で、消費増税分だけインフレ率が高まったに過ぎない。東京都区部における4月のインフレ率2.7%から、増税の効果(1.7%程度)を取り除いた値は1%であり、それは増税前(3月)のインフレ率1%と変わらない。むしろ、2014年度の目標である1.3%を下回っている。また、2014年12月には消費税率を10%に引き上げる政治判断が控えており、日銀が追加的な金融緩和に踏み切るとの期待が市場で継続するとの見方が有力である。

 ただ、その先(異次元緩和の後始末)の議論も深めておく必要がある。2013年5月のコラム「2015年以降も、日銀は国債買取りを急にはやめられない」で、金融政策の出口戦略が難しいことを説明した。デフレ脱却に向けて政府・日銀が様々な努力をしている現在、金融政策の出口戦略を考察するのは「時期早々」という指摘も多い。しかし、財政に対する影響を通じて、我々国民の生活にも影響を及ぼす問題であるから、もう少し考察を深めてみよう。

マネタリーベースと米金利を変数に日本の金利を考える

 具体的には、「日銀が異次元緩和を縮小すると長期金利はどの程度上昇するか」という問いについて考える。これは、2014年1月のコラム「『量的緩和』の本質は『国債利払いの抑制』」の続編である。

 異次元緩和の縮小(マネタリーベースの縮小)がもたらす効果を定量的に測るには、長期金利のモデルを推計する必要がある。そこで、日本の長期金利が米国の長期金利との相関が高いことを利用し、過去約10年間(2004年Q1から2014年Q1)のデータを用いて、「日本の長期金利」を「米国の長期金利」と「マネタリーベース」で説明する回帰式を推計したものが以下の結果である。

(注:ここで、括弧内はt値、exp[ ]は自然対数の底(ネイピア数)の関数であることを表し、回帰式の説明力(Adjusted R-squared )は約95%である。)

 また、「日本の長期金利(実績値)」「米国の長期金利」「マネタリーベース」の1998年Q1以降の推移は、以下の図表1のとおりである。

図表1:マネタリーベースと長期金利の関係
(出所)財務省・日銀資料およびOECDデータから筆者作成

 図表1には、上記モデル(以下「長期金利モデル」という)の回帰式から推計される日本の長期金利の「理論値」も描いている。この理論値と「実績値」はそうとう良いフィットであることが分かる。また、図表を見ると、米国の長期金利低下の影響もあるが、2013年Q1以降、異次元緩和によるマネタリーベースの急増が日本の長期金利を低下させていることが読み取れる。

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「金融政策の出口戦略:日銀の異次元緩和縮小で長期金利はどの程度上昇するか」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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