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アマゾンが獲得した“ゾンビ免許”

酒類販売制度に突きつけられた課題

2014年6月9日(月)

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 アマゾンが酒類の直販をするために確保した免許は、数年間休眠していた“ゾンビ免許”だった。取得の過程には、大手卸の陰もちらつく。ここにも、ネットを巡る規制論議の課題がある。

 4月、インターネット通販最大手のアマゾンジャパンが酒類の直接販売を始めた。販売ページには、「アサヒスーパードライ」、「キリン一番搾り」、「サントリープレミアムモルツ」など、大手ビールメーカー各社の看板商品のほかに、日本酒、焼酎、ウイスキー、ワインなど様々な酒が並ぶ。

 銘柄が非常に多様でかつ、持ち運ぶには重い酒類は、ネット通販が比較的強みを発揮しやすい分野とされる。小売り店舗に比べて郊外の倉庫で豊富な品揃えができ、配送を希望する購入者も多いからだ。ネット通販で圧倒的な存在感を持つアマゾンの直販は、少なからず業界関係者に衝撃を与えた。

「アマゾンは免許をどうしたのか」

 だがそのニュースが駆け巡ったのと同時に、酒類販売の業界関係者には1つの疑問も浮かんだ。それは、「アマゾンは免許をどうしたのか」というものだ。

 日本国内で酒類を販売するためには、免許が必要なことは多くの方がご存じかと思う。

 もう少し詳しく説明すると、一般消費者に酒類を売ろうとする場合、現状では対象となる免許が2種類ある。小売り店の店頭で酒類を販売できる「一般酒類小売業免許」(以下、「一般免許」)と、インターネットなどの通信販売ができる「通信販売酒類小売業免許」(以下、「通販免許」)の2つだ。

 この2つには店頭と通販という区別のほかに、もう1つ大きな違いがある。一般免許には、販売する酒の種類に特に規制がないのに対して、通販免許には制限があることだ。

 具体的には、「課税移出数量」が3000キロリットル以上の国内酒造メーカーが製造・販売する製品は、通販免許では扱えない。

 簡潔に言い換えれば、要するに国内の大手ビールメーカーなどが生産した商品は売ることができない。通信販売で売ることができるのは、原則として比較的小さな国内酒造メーカーが作った酒と、輸入酒だけなのだ。

 ただ、これには例外がある。

 一般免許の取得者が、免許のある店舗から1つの都道府県内の消費者を対象に販売する場合だ。売り先が同一都道府県内の消費者の場合は、受注・販売の手段がネットであっても規定上は「一般免許」の対象となるため、すべての酒類を売ることができる。スーパーや酒屋が店頭から宅配する場合が、おおむねこれに当たる。

 むろんこの場合は、同一の事業所から2つ以上の都道府県に商品を販売することはできない。比較的近くにいる人にしか売れないので、大手のビールを全国の消費者に大量に販売するようなことはできない。

 少々説明が長くなったが、要するにアマゾンに対して業界関係者らが感じた疑問とは、「全国に通信販売するはずのアマゾンが、どうして大手の国産ビールを売れるのか」というものだった。

 では、アマゾンの商売は違法なのか。いや、そうではない。彼らは合法的に、大手メーカーのビール類を全国に向けて大々的に売り出している。ならば、どうやって――。アマゾンの広報は、本誌の取材に対して明確な回答を避けたが、彼らが使ったのは、酒類の販売免許に関する、もう1つの例外だった。

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「アマゾンが獲得した“ゾンビ免許”」の著者

中川 雅之

中川 雅之(なかがわ・まさゆき)

日本経済新聞記者

2006年日本経済新聞社に入社。「消費産業部」で流通・サービス業の取材に携わる。12年から日経BPの日経ビジネス編集部に出向。15年4月から日本経済新聞企業報道部。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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