
「ターゲットにする顧客を取り込むために、やるべきことが見えてきた。ここに力を注げば、必ず勝てる」――。そう語るのは、メガネスーパーの星崎尚彦社長だ。
メガネスーパーは今、経営再建中の身だ。2014年4月期の単独最終損益は約26億円の赤字。実に、7期連続の赤字である。2013年4月期には債務超過に陥り、資本増強のために今年4月にデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)やライツイシュー(株主割当増資)などを実施している。2014年4月期末に債務超過は解消している。
ところが、一時は破綻の瀬戸際に直面した同社が、ここに来て自信を取り戻しつつある。2014年3月は、消費増税前の駆け込み需要もあって32カ月ぶりの単月黒字に転換。4月、5月は消費増税後の反動減で前年同月比マイナスに落ち込んだものの、それまでは昨年11月以降、既存店売上高は前年同月を上回る水準で推移してきた。
「眼鏡屋」から「アイケアカンパニー」へ
星崎社長が再生に向けた手ごたえを強調するのは、「メガネ」という商品の販売事業から、眼の健康をサポートする「アイケア」というサービス事業への移行が、徐々に進んできたからだ。特に、同社の主な顧客基盤である「ミドル(中年層)」と「シニア(高齢者層)」向けの市場は、高齢化の進展と伴って今後も有望と見る向きも少なくない。
メガネスーパーは2011年、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズに支援を仰ぎ、それ以降、ミドル・シニア向けのアイケア事業を強化する方針を掲げてきた。アドバンテッジ出身の束原俊哉取締役は、「眼鏡市場は縮小しているが、その中で高齢者向け眼鏡の割合は増えている。そこは今後の成長市場だ」と強調する。
これまで、シニア層を取り込むための施策を相次いで打ってきた。店舗での検査サービスをテコ入れし、「眼年齢」などを記したリポートを来店客に提供し始めたほか、眼の負担を軽減した独自レンズ「MEKARA(メカラ)」も投入。かけ心地を重視したプライベートブランド(PB)のフレームを増やし、PB比率を2割から5割に引き上げた。
また、地域の眼鏡店が囲い込んできた高齢者の顧客を奪うために、昨年11月から地域密着型の小商圏店舗の出店を始めた。新規出店は実に5年ぶりで、出店済みの12店舗に加えて、2016年4月までに計画している65店舗の新規出店のうち、大半がこうした小商圏店舗になる見込みだ。
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