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地域包括ケア・コンパクトシティによる財政効率は約2200億円か

2014年8月7日(木)

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 現在、政府は「地域包括ケアシステム」を進めようとしている。「地域包括ケアシステム」とは、高齢者などが重度の要介護状態になっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援のサービスを一体的に提供する枠組みを構築しようというものである。

 しかしながら、この試みには3つの問題が存在する。第1は、財政問題である。周知の通り、少子高齢化の急速な進展に伴い、社会保障費は膨張し、日本の財政赤字は拡大する傾向にある。ここ数年、社会保障給付費(年金・医療・介護)は毎年平均約3兆円の勢いで増加している。団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年に向けて、社会保障費増の圧力がより強まることは明らかである。

 第2は、都市部に住む高齢者が急増している問題である。「急増する都市部高齢者の介護ニーズにどう対処するか」で説明したように、2000年時には900万人に過ぎなかった後期高齢者(75歳以上)が2025年には2000万人に達する。それにつれて、医療・介護ニーズが急増する。この際、後期高齢者の増加数が著しいのは都市部である。例えば、東京都において、2005年時には100万人に過ぎなかった後期高齢者は2025年には約2倍の200万人超に達する。首都圏の神奈川県・埼玉県・千葉県も同様、大阪府や愛知県も似たような状況だ。特別養護老人ホームなどの待機待ちが都市部で急増する。

図表1:人口が半分以下となる地点数
(出所)国土交通省(2014)「国土のグランドデザイン2050~対流促進型国土の形成~」

 第3は、自治体が消滅の危機に直面している問題である。国土交通省が今年7月に公表した「国土のグランドデザイン2050~対流促進型国土の形成~」は、2050年の人口が2010年と比較して半分以下となる地点(全国を「1km2毎の地点」で見る)が、現在の居住地域の6割以上を占めることを明らかした。そして、図表1の通り、人口が半分以下となる6割以上の地点のうち約2割が誰も住んでいない状態になることを予測している。

 また、「市区町村の人口規模別」に見ると、人口規模が小さい地域ほど人口減少率が高い。現在の人口が1万人未満の市区町村は人口が約半分に減少し、自治体の財政基盤が危機に直面する。

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「地域包括ケア・コンパクトシティによる財政効率は約2200億円か」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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