• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

年金マネー、日本株買いは肩透かし?

2014年9月2日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が今秋から大規模な日本株買いに動き出す。日経平均株価が1万5000円台半ばでこう着するなか、GPIFは「市場の救世主」になり得るのか。127兆円を動かす世界最大の機関投資家の投資手法から可能性を探ってみた。

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は127兆円規模の公的年金を運用する世界最大級の機関投資家だ。年金財政の窮乏をしのぐため、低利の国債からリターンの比較的高い日本株に資金をシフトしている。今年3月末時点で16%だった日本株の配分割合を2割超まで引き上げる見通し。

 ただ日経平均株価が1月に付けた高値(1万6121円)を超えられない中、GPIFの日本株買いが相場全体の起爆剤になるとの見方は限定的だ。GPIFが日本株を20%に増やしても、年金の支払いなどに伴う資金流出を考慮すると、実質的な買い需要は3兆3000億円程度。市場規模を示す東京証券取引所の株式時価総額が475兆円規模(8月末時点)であることに照らすと、インパクトはあまりにも乏しい。

 2012年末からの株高で高い支持率を維持してきた安倍政権だが、集団的自衛権の行使容認を閣議決定した7月以降、低下傾向が鮮明だ。

 日本経済新聞とテレビ東京が7月25~27日に実施した世論調査では、内閣支持率が前回調査(6月27~29日)の53%から48%に低下、初めて50%を割り込んだ。不支持率は36%から38%に上昇し内閣発足以来の最高を付けた。読売新聞、朝日新聞など他の世論調査でも概ね支持率は50%を割り込んでいる。再び株高を演出できれば一気に支持率を挽回できる。GPIFの運用改革は政権の思惑と表裏一体でもある。

 GPIFだけではない。公務員の年金運用を担う国家公務員共済組合連合会や地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団の「3共済」もGPIFに追随して債券主体の運用を見直す公算が大きい。ただ、3共催の運用規模は50兆円。仮に日本株を1割増やしても、市場に流入する資金は5兆円に過ぎない。GPIFと合計でも8兆円規模だ。

 昨年のアベノミクス相場を演出した外国人はトヨタ自動車や日本たばこ産業(JT)などの主力株を中心に1年間で15兆円の日本株を買い越した。これに比べてもGPIFと3共済の買い付け余力は半分程度にとどまる。

 実際に日本株を買い増す場合でも1~2年程度の時間をかけると思われ、短期的に日本株を押し上げるには迫力不足の感は否めない。日銀が国債を買い増す「異次元緩和」を実施しているうちに、GPIFが国債から日本株に資金をシフトさせれば市場はもとより、政府・日銀の財政・金融政策への影響を最小限に抑えられるとの配慮もにじむ。

 しかもGPIFが新たに運用を委託する外資系7社が重点的に投資しているのは光学機器メーカーのトプコン、人材派遣会社のメイテックなど中小型株が目立つ。信越化学工業や東芝、テルモなどROE(自己資本利益率)の高い主要企業400社を対象にした株価指数「JPX日経インデックス400」も採用する見通しだが、GPIFは市場全体の銘柄に広く薄く投資する方針。

 広く薄くの運用手法は個別企業が抱える投資リスクを分散できる半面、必ずしも株式相場の底上げにつながるとは限らない。大和証券の塩村賢史ストラテジストは「当初は1兆円規模と期待されていたJPX日経400への投資額は4000億~5000億円程度にとどまるだろう」と話す。

コメント0

「ニュースを斬る」のバックナンバー

一覧

「年金マネー、日本株買いは肩透かし?」の著者

清水 崇史

清水 崇史(しみず・たかし)

日経ビジネス記者

98年早稲田大学大学院修了、通信社を経て日本経済新聞社に入社。証券部で機械・プラント、海運・空運などを中心に取材。2013年4月から日経BP社に出向。総合商社、金融マーケットを担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック