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日立が開けたパンドラの箱

年功序列廃止の波紋はどう広がるか

2014年10月2日(木)

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日立製作所の川村隆・相談役(写真:陶山 勉)

 「年功序列廃止は管理職だけでなく一般社員にも拡大するはず。他の産業にも同じ流れが波及し、終身雇用制度が終わる契機となる。日立の経営陣や人事部がそこまで意図しているのかは不明だが、パンドラの箱を開けてしまったのは間違いないでしょう」

 人事コンサルタントの城繁幸氏は、日立製作所が9月26日に発表した、年功序列を廃止した管理職向け賃金体系の導入について、このような感想を述べた。

 現在は相談役となっている川村隆氏が2009年以降に進めた経営改革の中で、日立は2011年6月に「グローバル人財マネジメント戦略」を策定。同戦略の一環で2012年度に国内外の日立グループ社員約25万人分の人事情報をデータベース化。2013年度には、国内外の管理職約5万ポジション分の役割の大きさをグローバル共通の尺度で格付けするなどの施策を着々と進めてきた。

 年功序列廃止の賃金体系の導入は、これまで構築してきたこれらのツールや評価制度を、いよいよ報酬に連動させるフェーズに入ったことを意味する。今回の管理職向け処遇制度の改訂は、一連の川村改革の総仕上げなのかもしれない。

優秀な海外人材などを採用しやすく

 今回の新制度の対象は、日立製作所における国内管理職の約1万1000人。課長級以上のこれら管理職は、勤続年数や年齢に関わらず、ポストや成果に応じて月給や賞与が決まる仕組みになる。

 従来の日立の管理職の賃金は、勤続年数や過去の実績などに応じて決定する「職能給」と、部長や課長などの役職に応じて支給される「職位給」で構成されていた。10月以降の新制度では、職能給と職位給の区分けがなくなり「役割・成果給」として一本化され、年功序列の要素が一切なくなる。ポストが上がったり成果を出した人の給与が上がる一方で、そうではない人の給与は下がるため、新制度移行後も人件費の総額は従来と変わらない見込みだという。

 狙いは優秀な人材を採用しやすくすること。役割や責任の重さ、業績への貢献度合いを報酬と明確に連動させ、優秀な若手の抜擢や、国籍を問わず優れた人材の中途採用をしやすくする。日立は2012年度時点で41%だった海外売上高比率を、2015年度に50%超に引き上げる経営目標を掲げる。そのためには、海外売上高を1兆円程度増やす必要があり、優秀な人材確保へ向け、世界共通の人事体系の導入が必須と判断した。

2009年3月期に、国内の製造業史上最大となる7873億円の最終赤字を計上した日立製作所。そんな崖っぷちの総合メーカーをV字回復に導いたのは、本流から外れた“デッドヘッド(員数外)" の男たちだった――。日立の経営再建の軌跡をたどった「異端児たちの決断 日立製作所 川村改革の2000日」をぜひお読みください。

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「日立が開けたパンドラの箱」の著者

宗像 誠之

宗像 誠之(むなかた・せいじ)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション、日本経済新聞社産業部、日経コンピュータを経て、2013年1月から日経ビジネス記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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