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ノーベル賞で「モノマネ技術立国」の汚名返上?

青色LEDが示すメードインジャパンが進む道

2014年10月9日(木)

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 青色発光ダイオード(LED)を開発した赤崎勇・名城大学教授、天野浩・名古屋大学教授、中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授がノーベル物理学賞を受賞した。日本人3人同時受賞の快挙は、モノ作り大国日本にとって、どんな意義があるのだろうか。30数年にわたり数千人の技術者、科学者に取材してきた「科学技術の伝道師」ノンフィクション作家の山根一眞氏に聞いた。

山根 一眞

青色LEDで日本人科学者3人がノーベル物理学賞を受賞しました。日本人として、とても嬉しいニュースですね。

山根:今回のノーベル賞でとても驚いたことがあります。それは、LEDの父と呼ばれるニック・ホロニアック博士が受賞しなかった点です。ホロニアック博士は1962年にLEDの原理を発明した科学者で赤崎さんよりも1歳年上。これまでに何回もノーベル賞受賞候補と言われてきました。今回も対象外で米国では疑問の声も出ていますね。

 一方、3人の日本人の受賞には大きな意味があると感じました。これまでは原理の発明者が受賞していたが、今回受賞の3人の工学者はいずれもLEDの製造技術を開発、また大量生産を可能にした人たちです。製造技術の開発者であっても世界に大きな変革をもたらす仕事をなせばノーベル賞に値すると評価されたわけです。日本にとって極めて大きな意味があります。

優れた製造技術はメード・イン・ジャパンの真髄ですよね。しかし、日本の製造業は欧米で発明された原理をもとに製品化してきたため、「モノマネ」にすぎないとしばしば言われてきましたよね。つまり、日本の製造業には独創性、創造性がないと。

山根:その通りです。半導体の歴史をふり返っても、最初はアメリカの「モノマネ」です。でも、日本が取り組んできたモノ作りは、決して卑下されることばかりではないんです。少し歴史を紐解いてみましょうか。

世界初のトランジスタラジオを作った日本の凄さ

 半導体の時代の原点、トランジスタは1948年に米国の科学者、ウイリアム・ショックレー博士ら3人が発明しました(3人は56年にノーベル物理学賞を受賞)。一方、トランジスタラジオを米国のメーカーとほぼ同時に商品化、発売したのは東京通信工業(現・ソニー)です。では、どうやってソニーはトランジスタラジオを作ったのか。

 日本のエレクロトロニクスの技術者たちがトランジスタの発明を驚きをもって知ったのは、東京・日比谷にあったGHQ(連合国軍総司令部)の図書館(当時、日比谷図書館と呼ばれていた)に届いた専門雑誌の記事でした。当時、日本では唯一、ここでのみ米国の最新の科学雑誌を読むことができた。ソニーの技術者もここで、ショックレー博士によるトランジスタの論文を読んでいるんです。

 トランジスタを製造するには、99.99999999%の高純度ゲルマニウムが必要です。しかし、終戦から数年目の日本には高純度ゲルマニウムなど存在せず製造のノウハウもなかった。そこでソニーの技術者は、神田界隈にあった「電気露店」で米国製の軍用無線機のジャンクから取り出して売っていたダイオードを買い、そこから高純度のゲルマニウムの結晶を取り出して基礎研究を開始。その後、米国から苦労の末に当時としては巨額の投資をしてトランジスタの特許を取得。トランジスタの製造を開始し、トランジスタラジオを製造したんです。

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「ノーベル賞で「モノマネ技術立国」の汚名返上?」の著者

山根 小雪

山根 小雪(やまね・さゆき)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション、日経エコロジーを経て、2010年1月から日経ビジネス記者。エネルギーを中心に、自動車や素材など製造業を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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