• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

中村修二氏、並外れた集中力を持つ「研究の鬼」

2014年10月14日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 地方の中小企業の研究者がノーベル賞級の研究成果を達成した。青色発光ダイオード(LED)と紫色半導体レーザーの実用化だ。その産業界に与えるインパクトは計り知れない。大手企業の研究者を出し抜いた原動力は集中力と実証精神。大企業のエリート研究者ではなかったからこそ偉業を達成できたのだ。(この記事は、「日経ビジネス」1999年7月19日号の「フォーカスひと」を再掲載したものです。肩書などは掲載時のままです)

 「日本人には珍しいサプライズ(驚き)を与える研究者だ」
 ノーベル物理学賞受賞者の江崎玲於奈(元筑波大学学長)がこう評価する男がいる。徳島県阿南市に本社を持つ蛍光材料メーカー、日亜化学工業(小川英治社長)の主幹研究員、中村修二だ。

 日亜化学は売上高約400億円、従業員1500人の、一見どこにでもありそうな地方の中堅メーカーだ。中村も普段は作業服を着て、いかにも素朴で地味な研究者といった印象を与える。しかし、その中村は、欧米をはじめ世界中の半導体関連の研究者や物理学者が今最も注目している研究者の1人である。今年10月に発表されるノーベル物理学賞の最有力候補とも言われている。ノーベル賞は、大学関係者が受賞することが多く、企業人はなかなか取れないと言われているが、「彼の実績から考えて、ノーベル賞をもらっても不思議ではない」という声は欧米でも少なくない。

青色LEDで世界の大企業を出し抜く

中村 修二(なかむら・しゅうじ)氏
1954年5月22日愛媛県生まれ、45歳。77年徳島大学工学部電子工学科卒業。79年同大学院工学研究科修士課程電子工学専攻修了。同年、日亜化学工業に入社。88年4月から1年間、米国フロリダ大学客員研究員。93年11月、世界で初めて、実用レベルの青色LEDを開発。97年10月、世界で初めて、実用レベルの青色半導体レーザーを開発。家族は妻と3女。(写真:山田哲也)

 中村は1993年以降、「驚くべき成果」(江崎)を次々と打ち立てた。その第1弾は93年11月末に発表した高性能な青色発光ダイオード(LED)の実用化である。LEDは、電流を光に変換する半導体で、普通の電球に比べて発熱量が小さく消費電力も少ない。電球の後を継ぐものとして大いに期待されているが、その当時、光の3原色のうち赤色と緑色が実用化されているだけで、青色LEDは実用に程遠かった。

 ところが、中村がそれを実用化した。松下電器産業やソニー、シャープ、NEC、東芝といった大手企業のエリート研究者を出し抜いたのだ。

 しかも、青色LEDの実用化が産業界にもたらしたインパクトは大きかった。赤、緑、青と光の3原色がそろったことで、LEDを使ったフルカラーのディスプレーを作れるようになったのだ。さらに信号機の光源に使えば、半年に1回の電球交換が不要になる。

 94年以降、日亜化学は青色LEDの量産に入っている。すでに事業の採算が合うようになっており、主力商品である蛍光材料に次ぐ収益源に成長している。

 中村の研究成果はこれだけではない。彼は次に、まだだれも果たしていなかった青色半導体レーザーの実用化に取り組んだ。97年8月にはレーザーを照射し続けられる時間(寿命)を300時間にまで引き延ばし、それまでの記録だったソニーの101時間を大きく抜いた。さらに同年10月には寿命1万時間を達成し、実用レベルにこぎ着けた。

 98年以降、ソニーや富士通研究所などが必死に中村の後を追いかけているが、発表した半導体レーザーの寿命は数百時間がせいぜいで、今も中村の独走が続いている。「普通は半年で追いつけるはずなのに、なかなか(中村の)背中が見えない」とある大手企業の研究者はこぼす。

 さらに99年1月、中村の成果に基づいて、日亜化学は青色より波長の短い紫色半導体レーザーのサンプル出荷を始めた。「日本の1人の発明家が、世界の大企業に先行した」とは、米有力新聞のニューヨーク・タイムズの中村に対する評価である。

コメント0

「ニュースを斬る」のバックナンバー

一覧

「中村修二氏、並外れた集中力を持つ「研究の鬼」」の著者

多田和市

多田和市(ただ・わいち)

日経ビッグデータ

日経ビジネス記者・副編集長、日経情報ストラテジー編集長、日経ビジネス編集委員、日経BPビジョナリー経営研究所上席研究員などを経て、2014年1月から日経ビッグデータ記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

環境の変化にきちんと対応して、本来提供すべき信頼されるサービスを持続できる環境を作り出さなければならない。

ヤマトホールディングス社長 山内 雅喜氏