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再増税を巡る対立の本質は「実施 vs 延期」ではない

本当の対立軸は「いまの痛みか vs 近い将来のより大きな痛みか」

2014年11月6日(木)

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 消費税の再増税を予定通り2015年10月に実施するか、延期するか、メディアなどで議論が盛り上がってきている。また、内閣府が11月17日に公表する予定の「7~9月期の実質GDP第1次速報」の値に注目が集まっている。

 日本銀行は今年(2014年)10月31日、政府が消費税再増税の判断をするのに先立って追加の金融緩和を決定した。日本経済新聞(11月1日記事)などによると、政府も新たな経済対策の裏付けとなる2014年度補正予算(新規の国債発行を避け、2013年度決算の剰余金などを財源に3兆円規模か)を本格的に検討する予定だ。

 このような状況の中、政府は11月4~18日までの間に「今後の経済財政動向などについての点検会合」を開催する。有識者(学者や経営者・自治体首長ら42人)から計5回にわたって意見を聴取し、消費税再増税の是非を検討する

 再増税に対するアンケート調査などで興味深いのは、有識者・市場関係者では6~8割が賛成である一方で、一般の世論調査では7割が反対であり、賛否が真逆となることだ。

有識者・市場関係者のアンケート調査一般の世論調査
・「来年10月の消費税率10%への引き上げには有識者の6割が賛成」(日本経済新聞10月5日)「2015年10月に予定通り消費税率を10%に引き上げることに「賛成」は23%で「反対」は70%に達した。(略)消費再増税に賛成は9月末の前回より5ポイント低下し反対は4ポイント上昇」(日本経済新聞10月26日)
・「日本経済新聞が28日まとめた市場関係者100人に対する緊急アンケートで、2015年10月の消費税率10%への引き上げについて「予定通り実施すべきだ」との回答が全体の78%」(日本経済新聞10月29日)

 この理由は何か。今年4月の増税に伴う反動減があり、前回「消費税再増税に対する慎重論に欠けている視点」で説明したように、増税以降、個人消費の戻りは確かに鈍い。政府は10月の月例経済報告で、「このところ弱さがみられるが、緩やかな回復基調が続いている」との認識を示したものの、景気の基調判断を2カ月連続で下方修正した。このため、再増税の判断が厳しいのは事実だ。

今のままでは限界は2030年

 しかし、再増税の延期は賢明な選択ではない。主な理由は3つある。

 第1は、財政危機を回避するのに残された時間はそれほど長くないという現実だ。つまり、財政の限界である。米国のアトランタ連銀のブラウン氏らの研究(Braun and Joines, 2011)は、政府債務(対GDP)を発散させないために、消費税率を100%に上げざるを得なくなる限界の年を計算している。結果は消費税率が10%のままならば2032年まで、消費税率が5%のケースでは2028年まで。ブラウン氏らは試算していないが、消費税率が8%のケースでは「2030年」頃が限界の年となるはずだ。

 そもそも消費税率を100%にすることは現実的には不可能だろう。ならば、これらの限界年は、その後、どんなに財政再建の努力を行っても財政破綻を防ぐことはできない限界の期限を示していることになる。

 そもそも今回の増税は「止血剤」に過ぎない。このことは、拙著『アベノミクスでも消費税は25%を超える』(PHPビジネス新書)でも指摘している。消費税率10%への引き上げを先送りすると、限界の年が早まってしまう。

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「再増税を巡る対立の本質は「実施 vs 延期」ではない」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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