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金融システムと世襲資本主義はより変動しやすく予測不能になった

『トマ・ピケティの新・資本論』序文を一挙公開

  • トマ・ピケティ

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2014年12月26日(金)

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 トマ・ピケティ『21世紀の資本』(みすず書房)は12月8日に発売以来、700ページを超える大部な本にもかかわらず、異例のベストセラーとなっている。

 2015年1月23日には、日刊紙リベラシオンにピケティ氏が寄稿しているコラムをまとめた時論集『トマ・ピケティの新・資本論』(村井章子訳、日経BP社)が発売される。

 ピケティ氏は2015年1月下旬に来日、31日には東京大学で500人の聴衆相手に講義を行う予定。日経BP社は、みすず書房とともに、この東大講義に協力する。

 時論集は2012年1月にフランスで出版された「PEUT-ON SAUVER L'EUROPE?」(ヨーロッパは救えるか?)をベースに、2014年6月までのコラムを追加して再編集したもの。ここにピケティ氏が2012年に書いた序文を一挙に公開する。

 本書は、フランスの日刊全国紙「リベラシオン」に2004年9月から2012年1月まで毎月連載した時評を、加筆訂正せずにまとめたものである。いま読むと古くなってしまったものもあるが、そうでないものもある。全体として本書は、社会科学の一研究者が日々世界を理解し分析して、世の中の議論に一石を投じようとした試みと言えよう。この試みを通じて筆者は、研究者としての立場と責任を、市民としての立場と責任と融合させようと努めたつもりである。

 2004~2012年という時期を特徴づけるのは、何と言っても2007年に始まったグローバル金融危機である。当然ながら多くの時評がこの問題に割かれており、この危機において中央銀行が果たした新しい役割を理解すること、アイルランドとギリシャの危機の相違点と共通点を分析することを試みた。もちろんこの時期であっても、十年一日のごとき国内の問題の重要性が薄れたわけではない。

 税の正義、年金改革、大学改革などは国家の未来にとってつねに重要な課題であり、大統領選挙においても争点となった。しかしこの時期の終わり近くになると、欧州連合(EU)の問題がひときわ重みを増すようになる。多くの人々が託した希望をEUは果たして実現できるのだろうか。

 ヨーロッパは一つの地域大国として、また一つの民主的政治主体として、常軌を逸したグローバル資本主義の手綱を再びとることができるのだろうか。それとも、規制緩和と競争原理に身を任せるだけの官僚機構に成り下がり、またしても市場を前にして国家が衰退していくことになるのだろうか。

21世紀型世襲資本主義の最初の危機

 簡単に整理しておくと、2007年夏にアメリカの住宅バブルの崩壊とサブプライムローンの不良債権化から始まった金融危機は、翌年9月にリーマン・ブラザーズの破綻を引き起こした。これは、21世紀型の世襲資本主義にとって最初の危機と捉えることができよう。

 振り返ってみると、市場の自己規律が過信され、金融の規制緩和が始まったのは、1980年代初めのことだった。この頃になると、1930年代の大恐慌とその後の大混乱の記憶は、すでに薄れていたのである。景気停滞と物価上昇が同時に起きた1970年代のスタグフレーションは、戦後期の特殊な状況で急遽策定されたケインジアン政策の限界を示したと言える。

 「栄光の30年」(1945~75年)の戦後復興と高度成長が終わると、1950~60年代の政府の巨大化と増税は、当然ながら見直されることになる。規制緩和の動きは1979年頃からまずアメリカで、次いでイギリスで起きた。英米両国は、次第に日本、ドイツ、フランスに追いつかれることに苛立っており、とくにイギリスの場合は、次々に追い越されることに堪えがたい思いをしていたのである。

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