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出口が遠い時こそ、真剣に議論するべき

異次元緩和の出口戦略を考える(3)

2015年1月13日(火)

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 ついに新年2015年が明けた。今年の4月4日は、日銀が「量的・質的金融緩和」(QQE)、いわゆる「異次元緩和」を導入した2013年4月4日からちょうど2年となる節目である。残り数カ月で、2%インフレ目標の達成する目途とされた期限が到来する。

 では、2%インフレ目標は期限までに達成できそうか。結論から言えば、昨年(2014年)10月末にQQE第2弾を実施したものの、目標達成は無理そうだ。そもそも、日銀はインフレ目標を「コアCPI(生鮮食品を除く消費者物価指数)」で設定している。コアCPIの対前年平均伸び率はバブル期(1985~89年)でも1.2%に過ぎなかった。また、最近の原油価格の下落もあり、総務省が2014年11月下旬に発表した10月のコアCPIは前年同月比で約0.9%でしかなかった(4月の消費増税の影響=約2%=を除いた値)。

 このような現状において、もし日銀が2015年4月4日以降も2%インフレ目標を堅持するならば、当分の間、異次元緩和を継続するはめに陥る可能性が高い。

図表:主要中央銀行の総資産(対GDP)の推移
出所:各中央銀行ホームページ

 その場合、この連載コラムの「『量的緩和』の本質は『国債利払いの抑制』」の回や拙著『財政危機の深層―増税・年金・赤字国債を問う』(NHK出版)でも指摘しているように、日銀の総資産は2016年末にGDP(国内総生産)比80%超に達することが見込まれる(図表)。米国のFRB(連邦準備理事会)や欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE)の総資産(GDP比)が20%台の範囲にあることを考えると、これは明らかに異常な規模だ。金融政策の出口戦略を将来、より困難にすることは間違いない。

 インフレ目標を達成しないうちから、「異次元緩和の出口を議論するのは時期尚早」という意見も多い。だが、金融政策の出口戦略は、出口が遠い時こそ、真剣に議論しておいた方がよい。市場が出口を本当に意識し始めると、些細な情報でも市場を動揺させる可能性があるからだ。また、中央銀行は通常、保有資産を売却し、発行した紙幣を回収することでインフレを制御するが、後述するように、金融緩和の出口で失敗し、日銀の損失が累積してバランスシートが毀損すると、1980年代・90年代のアルゼンチンやジャマイカなどが経験したように、中央銀行がインフレを制御できなくなるリスクがある。

 中央銀行のバランスシートが毀損しても、一般会計の財政収支が黒字で財務省がその穴埋めをすることができれば問題ない。けれども、現在のように財政が赤字で、増税や歳出削減が政治的に容易でない場合、財務省が穴埋めすることは不可能となる。このような状況でインフレの制御が難しくなるのは、その穴埋めは究極的には中央銀行が自ら紙幣を発行することでしか処理することができず、それはマネタリーベースの増加を引き起こし、インフレを進行させてしまうからだ。

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「出口が遠い時こそ、真剣に議論するべき」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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