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ヤマト社長「メール便廃止」の真意を語る

規制と戦った「30年信書論争」に決着

2015年1月28日(水)

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 宅配便最大手のヤマト運輸は1月22日、同社のメール便サービス「クロネコメール便」を3月末で廃止すると発表した。国の独占事業である手紙などの「信書」がメール便に混在すると、利用者が刑事罰に科せられる懸念があることが、廃止の主たる理由だ。

 国土交通省の調べによると、2013年度のクロネコメール便の取り扱い数はおよそ20億8400冊。このうち9割が、法人によるカタログやパンフレットの送付で、残る1割が個人の利用だ。この個人利用のうち、3~4割が書類の送付に使われており、ここに信書が紛れ込む懸念があるという。

 4月以降、これまでメール便を利用していた法人顧客向けには新たに「クロネコDM便」を提供。メール便とほぼ同じサービスを展開する。残る1割の個人利用の中でも、小さな荷物のやり取りに使っていた人に向けては、新たな宅急便サービスを2つ投入する。

 1つは、現在の宅急便60サイズよりも小さい専用ボックスを使うもので、料金は400円台からと、現行の宅急便60サイズよりも割安なもの。もう1つが、厚さ2.5cm以下の小さな荷物を対象に、ポスト投函で届けられるというもの。後者はメール便の現行のサービスをブラッシュアップした内容で、料金はこれまでのメール便よりも高くなる見込みだ。

 現在、クロネコメール便を使って書類のやり取りをしていた利用者については、4月以降利用できなくなる。

 1980年代から続いた「信書論争」に、「メール便の廃止」という形でひと区切りするヤマト運輸。中興の祖、故・小倉昌男氏が生前、戦い続けた「規制の壁」と、この先はどのように対峙するのか。ヤマト運輸の山内雅喜社長が独白する。

長らく続いた「信書論争」に、一つの区切りを付けました。

山内社長:信書については、本当に古くから議論を重ねてきました。かつては「添え状問題」と言ったんですね。例えば香典返しを送る時、荷物に礼状などを添えます。これは常識的な慣習でしょう。けれど、この礼状が「手紙」、つまり民間業者に配送を禁じた「信書」であるとして、郵政監察局から警告を受けました。1984年のことです。その後も、クレジットカードや地域振興券の配送を巡って、それが信書であるかどうかという議論が勃発しました。

 今回、我々がメール便を廃止した背景にはいくつもの事情があります。改めて、整理して説明しましょう。

ヤマト運輸の山内雅喜社長(写真:山本 琢磨、以下同)

 まず、最初にお伝えすべきなのは、我々は信書を日本郵便が独占することに対して、正面から反対しているわけではないということです。もちろん本来ならば、郵便事業についても、自由競争ができる環境があればよいと思っています。

 民間企業同士が互いに競争するなかで、いろいろな工夫が生まれて、料金が安くなり、利便性が上がっていく。フェアな競争によって利用者が恩恵を受けられる。それが理想的な姿でしょう。

 しかし一方で、郵便とはユニバーサルサービスでもあるべきです。「都会は手紙が届くけれど、過疎地には届かない」となると、国民生活は極めて不便になる。日本国内で一律のサービスが受けられる環境を守るという点では、ユニバーサルサービスとしての郵便事業は不可欠です。

 そのためには離島や過疎地もカバーしなくてはならない。日本全国に同じサービスを提供するには原資が必要です。それを確保するために、郵便事業の一定部分を独占してユニバーサルサービスの原資とする。それについては、決して反対するつもりはありません。世界各国でも同じような取り組みを実施しています。

 問題は、この独占領域の基準が曖昧なことにある。日本では、信書を独占領域と定めました。けれど何が信書で何が信書でないのかが、極めて曖昧になっている。

信書に該当する文書と信書に該当しない文書の一覧(ヤマト運輸の資料より)

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「ヤマト社長「メール便廃止」の真意を語る」の著者

日野 なおみ

日野 なおみ(ひの・なおみ)

日経ビジネス記者

月刊誌「日経トレンディ」を経て、2011年から「日経ビジネス」記者。航空・鉄道業界や小売業界などを担当する一方、書籍編集なども手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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