• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

増税延期でも「財政赤字半減目標」が達成できるカラクリ

2015年度予算案と今後の課題

2015年2月5日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 政府は1月14日、2015年度予算案を閣議決定した。その前日の13日、麻生太郎財務大臣は閣議後の会見で「2015年度における国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、以下「PB」)の赤字をGDP比で半減する目標を達成する目途がついた」という発言をした。2015年10月に予定されていた消費増税を17年4月に延期するが、それでも財政目標は達成できるとの趣旨だ。この発言をサポートするように、内閣府が2月中に公表する予定の「中長期の経済財政に関する試算」でも財政目標が達成できる見通しとするとの報道が出てきている。

 2015年度の一般会計予算(当初)の税収(見積もり)は54.5兆円。歳出総額は96.3兆円で過去最大となった(14年度の95.8兆円を0.5兆円上回る)。地方交付税交付金を0.6兆円削減するが、社会保障関係費を1兆円増やす。

 麻生財務大臣のこの発言は数カ月前の発言と異なる。昨年11月14日の閣議後の会見で、同大臣は「消費税率10%への引き上げが延期された場合、2015年度にPB赤字を半減させる目標の達成は厳しくなる」旨の認識を示していた。この理由は、内閣府が昨年7月25日に公表した「中長期の経済財政に関する試算」で、増税を実施しても、2015年度のPBは16.1兆円の赤字を予測しており、赤字半減目標(16.9兆円の赤字)を約0.7兆円下回るに過ぎないと見込んでいたからである。であるにもかかわらず、増税を延期したのに、なぜPB赤字を半減する目標の達成に目途がついたのか。

 厳密に言えば、達成できるかどうか、現時点で判断することは不能だ。そもそもGDPの発表は1次速報、2次速報、確報、確確報と4回あり、目標達成の成否が明らかになるのは2015年度のGDP確報が公表される2016年12月だからである(最終値はGDP確確報が公表される2017年12月となる)。

 また、やや厳しく評価すると、「何とか達成」の目途がついたカラクリには、歳入歳出の両面で以下の3つのポイントがある。

増税初年度の税収増はフルとはいかない

 第1のポイントは、若干技術的な議論だが、増税を延期しても、それが2015年度のPBに及ぼす影響は約1.5兆円の税収減に過ぎないと政府が予測していることだ。消費税1%=約2.7兆円とすると、消費増税(8%→10%)による税収増は単純計算で約5.4兆円となる。であるにもかかわらず、増税延期による税収減(予測)が1.5兆円で済むのは、以下の2つの理由による。

 一つは、増税が2015年10月すなわち2015年度の期間中央に予定されていたため、2015年度の税収増に対する貢献は消費税1%分(2.7兆円)しかなかったことである。もう一つは、消費税を納める事業者の決算期と国の決算期のズレや長期請負契約などにかかわる経過措置の影響などにより、増税初年度は約73%の税収増(約2兆円=2.7兆円×0.73)しか見込めないことである。

 しかも、この約2兆円は、国=約1.5兆円、地方=約0.5兆円という税収増の合計であるため、増税延期に伴う税収減は、国・地方を合わせて約1.5兆円となる。どういうことかというと、地方消費税分は国に一度収納された後、地方に配分される仕組みになっており、国の消費税と比較して歳入計上がずっと遅いのだ。このため、2015年度に予定していた地方の税収増は数百億円規模に過ぎなかった。

 上記の理由が理解できれば、増税延期に伴う税収減(5.4兆円)の影響が本当に効いてくるのは、2016年度以降の予算であることが予測できるはずだ。

コメント0

「子供たちにツケを残さないために、いまの僕たちにできること」のバックナンバー

一覧

「増税延期でも「財政赤字半減目標」が達成できるカラクリ」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

「昔、SOMPOは保険会社だったらしい」と言われたい。

桜田 謙悟 SOMPOホールディングス グループCEO社長