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財政再建にかける政府の本気度が伝わらない理由

「歳出削減の分野別目標」を定めよ

2015年6月2日(火)

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 2020年度における国・地方の基礎的財政収支(以下「プライマリーバランス(PB)」という)の黒字化に向け、政府・与党はもう間もなく「新たな財政再建計画」をまとめる予定だ。安倍晋三首相は2018年度までを「集中改革期間」と位置づけ、経済財政諮問会議(以下「諮問会議」という)において、徹底した歳出抑制策を作成するよう関係閣僚に指示している。

 しかし、財政再建に向けた政権の本気度が伝わってこない。この背景には、関係省庁やマスコミの間に広がる冷めた見方がある――「2016年に参院選が控えており、国民に負担増を強いる踏み込んだ改革を政治は決定できないのではないか」。

 だが、最も大きな理由は、小泉政権が打ち出した「骨太方針2006」(正式名称は「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」)が定めたような「歳出削減の分野別目標」に関する議論や決定が諮問会議に見られないからである。

 「骨太2006」の概要と背景を紹介しよう。まず、2006年度のPBは対GDP(国内総生産)比で2.8%の赤字で、公債等残高(対GDP、以下同じ)は150%に近づきつつあった。金利と成長率の動向にも依存するが、PBが赤字である限り、公債等残高は発散する確率が高い。実際、内閣府の当時の推計によると、財政再建に向けた追加的改善努力がない場合、2011年度のPBは3%弱の赤字で推移し、公債等残高は徐々に上昇することが見込まれていた(詳細は「構造改革と経済財政の中期展望-2005年度改定 参考試算」)。

 このような状況の下、財政の持続可能性を高める観点から、小泉政権は2011年度のPBを黒字化する目標を掲げた。具体的には、目標実現に必要な「要対応額」16.5兆円のうち、11.4兆~14.3兆円を歳出削減、残りの2.2兆~5.1兆円を歳入増で対応することを「骨太2006」で決定した。

小泉政権は「骨太2006」で迫力を示した

 小泉政権は「骨太2006」において「7つの原則」を明確に定め、5年間(2006~2011年度)における「歳出削減の分野別目標」を設定した(図表1)。

 5年間における歳出削減の分野別目標は、「社会保障(1.6兆円の抑制)」「人件費(2.6兆円の削減)」「公共投資(3.9兆~5.6兆円の削減)」「その他分野(3.3兆~4.5兆円の削減)」となっている。

 具体的には、社会保障の抑制額1.6兆円のうち1.1兆円は、国の一般会計における社会保障関係費の自然増を年平均2200億円抑制することで対応。人件費2.6兆円の削減は、国や地方公務員の定員純減や給与構造改革、人事院勧告の一部実施見送りなどで実現する。公共投資は年率1%~3%削減することで対応する予定だった。国の機関が身を切る姿勢を示し、徹底した歳出削減を行う迫力があった。

図表1:2006~2011年度の歳出改革の概要

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「財政再建にかける政府の本気度が伝わらない理由」の著者

小黒 一正

小黒 一正(おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部教授

1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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