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サウジのプライベートマネーが狙う
次の成長市場

  • 田中 保春

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2006年5月18日(木)

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 中東湾岸産油国と聞くとオイルマネーを想像される方が多いと思いますが、これだけは理解しておく必要があります。一部の例外を除き、中東湾岸産油国ではすべて国営石油会社が油田権益を有しており、オイルマネー即ち原油収入はすべてそれぞれの国の歳入となり国庫に入ります。ですから、オイルマネーは政府の資金であり、アラブ富豪たちのプライベートマネーとは切り離して理解しなければなりません。

 

富の源泉は石油より投資

 

湾岸協力会議、年次首脳会談開催 - サウジアラビア
湾岸協力会議、年次首脳会談開催 - サウジアラビア

 以前、日本のテレビなどでアラブの石油王といったタイトルで富豪の生活が紹介されたことがありましたが、サウジアラビアなど湾岸産油国の富豪のほとんどは石油収入で富豪になったわけではありません。もちろん、中には間接的にオイルに関係したビジネスで財を成した実業家も多いのは事実ですが、オイルを売って儲けたわけではありません。

 イスラーム教徒の義務であるザカート(喜捨)を除くと、個人の所得税というのは存在していないため、富を貯めやすいとは言えます。しかし、基本的には1970年代から80年代前半までのオイルブームに海外の自動車メーカーや家電メーカー等と代理店契約を結んだ実業家や、建設ブームに大規模なプロジェクト契約を受注した企業経営者などが資産を短期間に拡大させたというのが事実です。

 その資産の大半は主に欧米の不動産や株式に流れ、80年代から90年代にかけて個人資産が拡大成長したわけです。

 ところが、2001年の9・11を境にして、湾岸産油国のプライベートマネーは海外で運用している金融資産凍結を恐れ、欧米市場から離れ、ケイマン諸島などのタックスヘイブンやスイスのプライベートバンクなどにシフトしました。また一部は湾岸産油国に還流しました。

 公式統計がないため、どのくらいの金額が還流したかは分かりませんが、直後からマネーサプライが急に増えたことは、中央銀行であるサウジ通貨庁が公表している月次統計が証明しています。その後もマネーサプライは増加を続け、余った資金の運用先を求める投資家の積極的な活動により、湾岸産油国の株式市場や不動産価格を急激に押し上げる原動力となりました。原油収支拡大を受け湾岸産油国のオイルマネーは米国債を買い続け、それが米国の長期金利が上がらない理由となっていますが、プライベートマネーは米国には向かっていません。

 例えば、2006年初頭の湾岸6カ国の株式市場時価総額は1兆ドルの大台を超え1兆1600億ドルに達しましたが、2004年末の時価総額は5000億ドル弱でしたので、昨年(2005年)だけで2.3倍に拡大したわけです。そのため、サウジアラビア株式市場の上場株式平均PER(株価収益率)も40倍を大きくクリアし、また一部の投機家が業績の実態を伴わない上場株を吊り上げたため、明らかな割高状態でした。そのため2月以降調整局面が続き、不安定な動きとなっています。


 しかし、企業業績は近年のような収益拡大のモメンタムを少し失っているとはいえ、足元の業績そのものは依然好調ですから、いずれバリエーションから判断しても買い場が再来することでしょう。

投資にのめりこむ学校の先生や主婦

 さて、サウジアラビアの個人株主というと、金持ちばかりのように想像されるかもしれませんが、実際には民間企業のサラリーマンや公務員などがほとんどです。

 特に2003年、サウジ史上最大の株式公開であったサウジテレコムの新規公開株をきっかけに、国民の大半が個人株主という時代に入りました。昨年友人から、「学校の先生は、今や株式にのめりこみ、教育どころでなく株価の動きに一喜一憂しており、問題だ」という話を聞いたことがありますし、別の友人の自宅で食事に招待された時には、「子供を学校に送り出すと、テレビの株価放送を見ながら株の売買をやっているの。主人よりも私の方がアウトパフォームしているわ」と、ご主人を横にご夫人の自慢話を聞いたこともありました。

 また昨年、銀行に立ち寄ったついでに銀行にある個人投資家のための専用ルームを覗いたことがありますが、昼間から大勢の人間で混み合っていました。近年ブームになっている新規公開株式の申し込み期間になると、市内の銀行のフロアは書類を持ったサウジ人個人投資家たちで溢れかえり、通常の銀行取引を頼む場合でも窓口で長時間待たされる覚悟が必要になっています。

「世界鑑測 田中保春の「サウジ・新潮流」」のバックナンバー

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