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景気が良くとも、「新卒失業者」100万人

中国版『大学は出たけれど』の実情(前編)

2006年5月22日(月)

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 中国の学校制度では、大学院、大学、専門学校といった高等教育機関を『高等学校』に分類し、『中学校』の分類に「高級中学」と呼ばれる高校や「初級中学」と呼ばれる中学、更に「職業中学」(高校・中学)が含まれる。

 ちなみに、中国の標準的学校制度は日本と同じく義務教育の小学6年・中学3年、更に高校3年、大学4年の六三三四制である。

 中華人民共和国が成立した1949年の時点では、この『高等学校』は全国に205カ所しかなく、在校生はたったの11.6万人に過ぎなかった。その後、学校数はかつての日本で雨後のタケノコのように設立された駅弁大学よろしく年々増加し、「普通高等学校」に分類される大学だけでも、1990年には1075校だったものが、2005年には1778校にまで増大している。

 中国の大学は1999年に募集人数を前年比45万人増と大幅に拡大したが、その後もこの傾向は続いており、2002年の卒業生が145万人であったのに対して、2003年212万人、2004年280万人、2005年338万人と増大を重ね、2006年の大学卒業生は413万人になる予定である。

極めて厳しい大学卒業生の就職戦線

 経済発展の著しい中国ではあるが、大学卒業生の就職戦線は極めて厳しく、卒業生の増大に伴う新卒者の失業者数は大幅に増大している。2002年に37万人であった大学の新卒失業者は、2005年には79万人にまで拡大している。まさに、『大学は出たけれど』という小津安二郎監督が1929(昭和4)年に制作した映画のタイトルと同じ現象が起こっている。

 しかし、小津監督の映画は昭和初期の長く続いた厳しい不況を背景にしたものであったが、中国の場合は好景気に沸いており、状況が正反対であることは興味深い。

 中国政府の就職関連データによれば、2006年に都市で就職を必要とする人数は約2500万人(内訳:新規労働者=新卒者 900万人、都市部登録失業者840万人、一時帰休者460万人、農村からの出稼ぎや退役軍人300万人)であるのに対して、都市部の新規雇用数は1100万人で、最終的には1400万人が余剰労働力となり就職できないと予測している。

 2006年の大学卒業予定者410万人の全員が都市部での就職を希望するわけではないと思うが、現在の都市と農村の格差を考えれば、都市での就職を望むのが人情であり、相当部分の学生は900万人の新規労働者の一員として就職戦線に参加することになる。

 2006年の大学新卒の失業者は2005年の79万人を上回り、恐らく100万人に到達しよう。

 天安門事件が起こった1989年当時の大学卒業生は全国で58万人程度に過ぎず、稀少価値があり、大学卒業の肩書はエリートとしての出世の礎であった。ただし、当時は国家が大学の学費を補助していたため、大学卒業生には国家が就職先を指定する「分配制度」という規定があり、有力者にコネがあるとか運の良い人たちは都会に残れたが、コネもなく運も悪い人たちは泣く泣く農村に就職させられた。

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「景気が良くとも、「新卒失業者」100万人」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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