「ありゃ、自分は今どこにいるんだっけ?」――。4月18日の午後、筆者は江蘇省蘇州市の工業団地内にある工場の会議室にいた。米自動車部品大手、デルファイが日本の報道陣向けに開いた工場見学会に参加していたのだ。
![]() | |
|
そこで目にしたのは、「米国企業の中国工場」というイメージを大きく超えてグローバル化した、製造業の未来を先取りする光景だった。もしもドラえもんの「どこでもドア」でこの会議室に入ったら、そこが中国であることはもちろん、地球上のどこなのか皆目見当がつかなかっただろう。
破綻した企業のあら探しをするつもりが…
デルファイといえば、親会社である米GMの経営不振のあおりを受け、昨年10月に米連邦破産法第11条を申請したことが記憶に新しい。今年3月末には、米国内の工場の3分の2に当たる21工場を閉鎖売却し、労働組合と労働協約も破棄するという再建計画を裁判所に提出。生き残りをかけて、全米自動車労組(UAW)との厳しい交渉に臨んでいる。
だが、筆者らが蘇州を訪れた翌日の4月19日、上海の技術開発センターの開所式で記者会見した同社のスティーブ・ミラー会長は、「再建問題の核心は(労働協約のために)米国の労賃が高すぎることだ。中国での事業は利益を上げており、これまで以上に投資していく」と強調した。
世界の自動車メーカーが雪崩を打って進出している中国は、デルファイにとって最大の成長市場だ。GMと中国の上海汽車の合弁会社「上海GM」は2005年、前年比18%増の29万8600台を販売。メーカー別の乗用車販売シェアでトップに立っている。それとともに、中国に11カ所あるデルファイの部品工場では生産が急拡大している。
同社は、GM以外のメーカーとの取引にも積極的だ。中でも、コスト意識が高く部品の現地調達率向上に熱心な日本メーカーは、今後の取引拡大を期待できる有力顧客である。日本の報道陣をわざわざ蘇州に招いたのは、デルファイの中国工場が正常に操業している現場を見せることで、「破綻企業」というネガティブなイメージを払拭したいという思惑もあったのだろう。
とはいえ、実際に工場に足を踏み入れるまで、筆者はそこに特別目新しいものがあるとは想像していなかった。むしろ、米本社の破綻の見えない影響がどこかから読み取れないか、あら探ししてやろうと思っていた。
“カイゼン”担当は中国人でも日本人でもなく…
だが、工場の会議室で説明を聞いているうち、あら探しはどうでもよくなってきた。冒頭で触れたように、日本人の想像力を超えてグローバル化した製造業の未来の姿を、そこで目撃したからである。
次ページ以降は「日経ビジネスオンライン会員」(無料)の方および「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみお読みいただけます。ご登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。










