「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」

ネットで明かされた 有名大学「裏口入学」の実態

中国版「大学は出たけれど」(後編)

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2006年5月26日(金)

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 2001年8月、江沢民の出身校である上海交通大学のネットワークサーバーが、ウイルス感染により外部接続不能となった。外部接続不能で退屈なコンピューターおたくの学生がでたらめにネット内探索を行った結果、大学教務部のコンピューターから「とんでもないリスト」のゲットに成功、そのリストをこれ見よがしに学内のネット掲示板に張り付けた。

 「とんでもないリスト」とは、上海交通大学の入学試験の別枠選抜リスト、すなわち「裏口入学要請リスト」であった。このリストは、学生名、地域、全国統一入試点数、加点要素、専攻学科、依頼人、処理対応意見という分類で構成されており、約200人の学生のデータが記されていた。最も目を引いたのは、「依頼人」の項に書かれた人々の肩書で、地元の上海市政府はもとより中央・地方政府の幹部級の職責がずらりと並んでいた。

ネットで明かされた「名門大学」の不正

 リストは学内のネット掲示板に張り出されてから20分後には大学側によって削除されたが、学生が外部のネット掲示板にも張り付けたことで、全国に知られるところとなった。当の上海交通大学の在学生や受験生が怒りの声を上げたのは当然だが、全国的にも大学入試の不正と不公平をなじる声が沸き上がり、波紋は大きな輪となって広がった。

 全国に1700以上ある大学中の名門大学への入学は将来の立身出世への近道であり、その名門大学の1つ「上海交通大学」に子供を入れたいと考えるのは親の常、ただしコネを使ってそうした特権に甘えることのできるのは一定以上の幹部クラスに限られる。

 大学側は幹部の階級やコネの力関係を考慮して、依頼を受けた受験生の入試点数に適当に加点、その上で特別枠の枠内に入った受験生を合格とするというのが裏口入学の仕組み。当然ながら、特別枠で入学するとなれば相応の謝礼が必要で、その相場は数万元から十万元程らしい。

 名門大学の卒業予定者であれば前回述べた新卒失業という可能性は極めて少ないと言ってよく、新卒失業者の大部分がいわゆる駅弁大学の卒業生であることは論をまたない。

 このため、大多数の大学では卒業生の就職率を水増しして、入学志望者を増やそうと必死に努力している。中国では毎年複数の組織が「大学排行榜」(大学ランキング)なるものを発表するが、昨年ある田舎大学の学長が今後10年間大学ランキングの発表を停止する条例を作れ、と国会に相当する全国人民代表大会に要請したという話も伝わっている。

 

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著者プロフィール

北村 豊(きたむら ゆたか)

北村 豊

住友商事総合研究所 中国専任シニアアナリスト
1949年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。住友商事入社後、アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、2004年より現職。中央大学政策文化総合研究所客員研究員。中国環境保護産業協会員、中国消防協会員



このコラムについて

世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」

日中両国が本当の意味で交流するには、両国民が相互理解を深めることが先決である。ところが、日本のメディアの中国に関する報道は、「陰陽」の「陽」ばかりが強調され、「陰」がほとんど報道されない。真の中国を理解するために、「褒めるべきは褒め、批判すべきは批判す」という視点に立って、中国国内の実態をリポートする。

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