経済学では、限りない需要に対して限りある資源をいかに最適に分配するかという、あらゆる社会に共通した根本的な経済問題を扱ってきた。
決断には常に犠牲を伴うことから、経済学が「陰鬱な科学」と呼ばれるようになったのも無理はない。経済学者たちの間には、経済成長と天然資源の賦存量とは反比例関係にあるとする、実証されてはいないものの広く受け入れられている仮説があり、「豊かさのパラドックス」 または 「資源の呪い」 として知られている。
この仮説は、温暖な熱帯性気候と食物がすぐ手に入るような環境に恵まれた国は、なぜ冷涼で農作物を栽培できる季節が短い国に比べて経済発展が遅れがちなのか、ということを説明するのに使われてきた。近年、「資源の呪い」という言葉は、ナイジェリア、
最近では、モーリタニアイスラム共和国であろう。
億バレルの原油
今年 2月17日、モーリタニアの首都ヌアクショットの沖合 80キロメートルにあるチングエッティ海底油田で、オーストラリア最大の石油天然ガス採掘会社
楽観的な観測では、モーリタニアの確認・推定原油埋蔵量は約10億バレルと見積もられており、300万人の人口の大部分が遊牧と零細農業に従事している貧しい国にとっては望外の利益となるが、1〜 2兆バレルといわれる世界全体の確認埋蔵量のごく一部に過ぎない。
世界銀行は、モーリタニアの原油生産が2010年に日量約15万バレルのピークに達し、その後減少に転じて2025年に採掘完了するまでに、国民1人当たりGDP(国民総生産)が2003年の420米ドルから2010年にはその3倍以上の1500米ドルに拡大すると観測している。
原油による短期間の急激な歳入増が、モーリタニア政府と国際開発機関にとって、天然資源による歳入を長期的かつ持続可能な経済成長の実現に活かせるかという究極の試練をもたらすことになるのは必至だ。
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