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白物家電「仕切り直し」に賭ける東芝

中国TCLと合弁で巨大工場を建設

  • 田原 真司

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2006年7月10日(月)

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 「仕切り直し? はい。ご指摘の通りです」――。

式典挨拶
新工場の開業式典で挨拶する東芝の佐藤芳明・副社長

 7月1日、広東省佛山市に東芝 が建設した冷蔵庫と洗濯機の新工場開業式典でのこと。同社の家電事業を率いる佐藤芳明・副社長は、筆者の質問にきっぱりとそう答えた。

日本と同等の最新機種を大量生産

 広東省の新工場は、現在の白物家電の主力拠点である日本やタイの規模を一気に上回る巨大工場だ。脱臭除菌機能付きの大型冷蔵庫や高機能のドラム式洗濯機など、日本市場向けと同等の最新機種を中心に、2010年に冷蔵庫の年産100万台、洗濯機は同150万台を目指している。そのうち約半分を中国国内で販売、残りを東南アジア、ロシア、日本などに輸出する計画だ。

洗濯機製造ライン
洗濯機の生産ライン。今夏からは高機能のドラム型も量産する

 これは一見、新興国市場で急拡大する需要を狙った正攻法のプロジェクトのように思える。だが、東芝のこれまでの中国戦略とその経過を振り返えると、それがいかに野心的で、かつリスクを伴う“賭け”であるかが見えてくる。過去の失敗を断ち切り、リスクを承知で新たな戦略に未来を託したからこそ「仕切り直し」なのである。

 東芝に限らず、日本メーカーの白物家電製品は中国市場で軒並み苦戦している。冷蔵庫や洗濯機は、基本的な機能に関しては技術的に成熟し、消費者に違いをアピールするのが難しい。

 1990年代後半から海爾(ハイアール)集団などの中国メーカーが品質を急速に高めてきたのに加え、韓国のサムスンLGも中国に巨大工場を建設して参戦。日本メーカーは、値下げが値下げを呼ぶ乱売合戦に陥った普及価格帯での競争から事実上脱落し、富裕層向けの高級品のニッチ市場に特化しているのが実情だ。

OEM調達ではうまくいかず

 そんな中、東芝の白物家電事業は軸足がふらつき、迷走を続けてきた。

 1996年、中国で家庭用エアコンの需要が急拡大してきたのを機に、東芝は中国メーカーと合弁で広東省にコンプレッサー(圧縮機)の工場を建設した。ところが、競合メーカーも同時期に一斉に参入したため、供給過剰による泥沼の価格競争に直面した。

 当時、東芝は西室泰三社長の下で事業の選択と集中を進めていた。コンプレッサーの合弁会社には60%出資していたが、99年、合弁相手の持ち分を買収した中国の大手白物家電メーカー、美的(ミデア)集団に株式の一部を売却、経営権を手放した。

 2000年には、山東省の家電メーカー、小鴨集団など複数の中国メーカーと提携。東芝の技術を供与して白物家電をOEM(相手先ブランド生産)調達し、高機能・低価格を売り物に中国での拡販を図ろうとした。

 コンプレッサーの合弁では、実はパートナーの中国メーカーが事実上倒産してしまい、競争力強化のための増資ができない不自由さを味わった。その反省を生かしたのだろう。出資を伴わない技術提携は、合弁相手の事情に左右されない身軽さが特徴だった。

 だが、現実にはうまくいかなかったようだ。2003年、東芝は一転して陝西省西安の冷蔵庫メーカーと江蘇省無錫の洗濯機メーカーに過半出資して経営権を獲得、中国での自社生産に復帰した。

販売会社はTCL主導に

 そして2004年11月、東芝は中国の大手メーカー、TCLと白物家電事業での包括提携を発表。冷蔵庫と洗濯機の新工場を建設するとともに、東芝ブランドの製品の販売会社を両社の合弁で設立することに合意した。

 筆者が開業式典を取材したのは、このTCLとの合弁工場である。興味深いのは、合弁の出資比率が工場(生産会社)と販売会社で異なることだ。この理由を知ると、東芝の賭けの意味が見えてくる。

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