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悲しき「バービー人形」 今も盛んな孤児ビジネス

孤児たちを暖かく育成できる日はいつに

2006年7月14日(金)

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 それは極めて奇妙な集団であった。中国人の赤ん坊を抱えた中年の白人夫婦10数組の一団が空港の香港行きチェックインカウンターに長い列を作っていた。
 
 そこは広州白雲空港。筆者は1995年から4年半にわたって中国広東省の省都である広州市に駐在したが、この間に白雲空港の国際線チェックインカウンターで何回こうした光景を目にしたことか。

中国人の赤ん坊を抱えた白人夫婦の集団

 抱かれている赤ん坊は、髪も眼も黒く、何とすべて女児であることにも驚かされたが、赤毛碧眼の中年夫婦と抱かれた赤ん坊の何かしら怯えた雰囲気を秘めた無表情がとてもアンバランスで、なぜか胸を締めつけられるような感覚を味わったものであった。
 
 かつて広州市内にあった白雲空港は既に閉鎖され、広州市に隣接する花都市に新白雲空港が完成しているが、中国人の赤ん坊を抱いた中年の白人夫婦は今もチェックインカウンターに列を作っているものと思われる。

 湖南省衡陽市は省都の長沙市から南下すること186キロ、省中央部に位置する人口700万の地方都市である。2005年11月18日午後3時、鉄道の衡陽駅から女性2人が3人の嬰児を抱かかえて黒塗りの乗用車に乗り込んだのを衡陽市公安局の警察官が包囲したことから事件は始まった。
 
 従来から噂になっていた嬰児売買に関して内偵を続けていた衡陽市公安局は、嬰児売買の黒幕が「福利院」(孤児と身寄りのない老人を収容する施設)であると想定していたが、当日衡陽駅で嬰児の受渡しが行われるとの情報をキャッチし、嬰児を受け取って駅から出てきた女性2人を現行犯逮捕したものであった。案の定、捕らえた女性2人は共に衡陽市に属する衡陽県にある福利院の院長であった。
 
 このニュースは嬰児売買事件として大きく報道されたが、衡陽市の共産党及び市政府は緊急会議を招集し、公安部門に専任調査チームを設置して事件の早期解明を命じた。調査チームによる福利院長2人に対する厳しい取り調べと平行して行われた調査によって、嬰児販売組織とその買い手である衡陽市の多数の福利院職員が前後して逮捕され、その総数は27人に及んだ。
 
 逮捕された福利院職員は孤児を収容しただけで犯罪を構成しないとの理由で釈放されるといった紆余曲折を経たが、共産党の指示で彼らは再逮捕され、2006年2月22日、湖南省祁東県人民法院(=裁判所)で公開裁判が開廷された。法廷は2月24日に判決を下し、犯罪を構成すると認定した10人に対して個別に1年から15年までの懲役刑を言い渡した。

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「悲しき「バービー人形」 今も盛んな孤児ビジネス」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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