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人民日報も認める『銀英伝』。中国で「愛される理由」は

  • 田中 信彦

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2006年8月23日(水)

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 日本で累計1500万部以上が売れたというSF大河小説『銀河英雄伝説』(田中芳樹著)の中国語版がこの秋、中国でも出版されることになった。これまでもネットでの無断転載や海賊版などで読むことはできたが、正規版の出版は大陸中国では初めて。この作品は中国の若者の間で「宇宙版三国志」と称される圧倒的な支持を受けており、都市生活者や学生たちの間ですっかり定着した「村上春樹現象」と並んで、日本発の小説の人気ぶりを表している。

 『銀河英雄伝説』(略称・銀英伝)は広大な銀河系を舞台にしたスペースオペラ。「銀河帝国」と「自由惑星同盟」両陣営の攻防を軸に、若き2人の英雄ラインハルト・フォン・ローエングラムとヤン・ウェンリーの生涯を中心に描く。

 ジャンル的にはSF小説だが、「科学技術的な描写は重んじず、対立する陣営のイデオロギー、人物像、権謀術数、歴史の流れを正面に出し、『後世の歴史家』の観点から叙述することで、さながら架空の歴史小説であるかのような体裁をとっている」(「ウィキペディア(Wikipedia)」より引用)。

「(ハリポタ以前の)最強ファンタジー」と人民日報

 最初の刊行は1982年11月と早く、当初はさほど注目されなかったものの、数年後から人気が高まり、87年に全10巻が完結。翌88年にはSFファンがその年一番の作品を選ぶ「星雲賞」を受賞している。小説を原作にアニメや漫画、コンピューターゲーム等の関連作品も多数ある。

 中国語圏では、96年に台湾で繁体字(いわゆる旧字体)版が刊行されて以来、大陸中国にも海賊版が流入。インターネットの普及後はネット上に違法な転載が氾濫し、一気に広まった。中国共産党機関紙「人民日報」ネット版の表現によれば「ハリーポッターの登場以前、中国で最も強い影響を与えたファンタジー小説」であり、「中国の宇宙ファンタジー小説で『銀英伝』の影響を受けていないものはない」のだそうである。

 私は普段この手の小説を読むことはまずないのだが、10年以上前、広東省に出張していた際、夜ホテルで特にすることがないのでテレビをつけていたら、たまたま日本の衛星放送で深夜に放映していたのがアニメ版「銀英伝」だった。わずか30分の番組だったが、やたらと面白いうえに音楽も美しく、今で言うところの「はまって」しまった。

 ストーリーの中身については深くは触れないが、物語の状況設定や登場人物の個性、各戦役の展開など数多くの点で「三国志演義」や「水滸伝」など中国の歴史小説の影響があるとの指摘が多くのファンからなされている。そのあたりの歴史小説的深みが中国でも強く支持される大きな理由だろう。確かに感覚的にはSFというより司馬遼太郎の小説のような趣がある。『坂の上の雲』がお好きな方などは恐らく面白く読めると思う。

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