• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

米国依存からどう逃れる?
南米経済統合の試行錯誤

  • 門倉貴史

バックナンバー

2006年8月21日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 現在、世界規模で自由貿易協定(FTA)締結の動きが広がっています。2国間・複数国間のFTAは貿易・投資の相互促進を通じて参加国の経済を活性化・効率化させる効果があると言われています。そこで、今回はFTAの先駆的成功事例の1つとして、中南米のメルコスール(Mercosur=南米南部共同体市場)を取り上げてみたいと思います。

米国景気や金利に翻弄された80年代

 1980年代後半にブラジルとアルゼンチンの間で持ち上がった経済統合構想をきっかけとして、共同体市場創設の計画が具体化しました。背景のひとつには、米国依存型の不安定な経済構造から早く脱却したいという両国の強い意向がありました。それまで両国とも米国との経済関係が非常に強く、ブラジルの場合、輸出や輸入の4分の1以上が対米国で占められていました。

 また、対外債務の多くも対米国で占められ、ブラジルの場合は対外債務の6割以上が米ドル建てでした。ブラジルやアルゼンチンの貿易額や対外債務返済負担は、米国の景気や金利の動向に左右されやすくなっていたのです。

 その後、経済統合計画にパラグアイとウルグアイが加わり、91年に共同体市場の創設を目標とするアスシオン条約が締結されます。共同体市場の実現に向けて4カ国の関税障壁は徐々に取り除かれ、95年1月にはブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイの4カ国からなるメルコスールが正式に発足します。この時点で参加国の関税は原則として完全撤廃されることになりました。

加盟国向け輸出が増え経済効果も大

 メルコスールの成立に伴う加盟国の貿易構造の変化を、ブラジルを例に取って確認すると、アスシオン条約締結以降、ブラジル、アルゼンチン経済が失速する前の98年まで、メルコスール加盟国向けの輸出シェアが急激に上昇する一方、最大の貿易相手国である米国向けの輸出シェアが徐々に低下していったことが分かります。91年の加盟国向け輸出シェアは7.3%にすぎなかったのですが、98年には17.4%と、米国向け(19.3%)に迫る水準まで上昇しました。メルコスールの成立によって、ブラジルの貿易構造は、対米依存型から域内依存型へとシフトしていったと言えます。

 では、メルコスールの効果によって、ブラジルの輸出はどれだけ押し上げられたのでしょうか。いくつかの前提をおいて試算すると、ブラジルからメルコスール加盟国に向けた実際の輸出額は、メルコスールが未成立と仮定した場合の理論値の水準を上回って推移したことが分かります。91年から98年までの累計では、メルコスールの貿易促進効果によって加盟国向けの輸出が18.8%程度、金額にして77.8億ドル程度押し上げられたと見られます(図表)。

 メルコスールは、域内貿易・直接投資の拡大などを通じて、加盟国の経済にもプラスの効果をもたらしました。メルコスール発足前の80年代と発足後の90年代以降の加盟国の平均成長率を比較すると、アルゼンチンが0.92%減から3.27%増へ、ブラジルが2.33%増から2.55%増へ、ウルグアイが1.15%増から2.23%増へと高まりました。経済規模の小さいパラグアイは、ブラジルやアルゼンチンからの輸出攻勢を受けて貿易収支が悪化したため、加盟国の中で唯一成長率が鈍化しましたが、メルコスールの平均成長率は1.58%増から2.70%増へと高まっており、加盟国トータルで見れば、経済成長にプラスの効果があったと言えます。

コメント0

「門倉 貴史の「BRICsの素顔」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

トランプ政権のここまでの動きはスロー。

ジョセフ・ナイ 米ハーバード大学特別功労教授