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重慶市の決断、「理髪店にコンドームを」

急増するエイズ対策に、建前を抑えた本音の手段

  • 田中 信彦

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2006年9月13日(水)

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 「コンドームを備えつけていない理髪店やナイトクラブやバーは営業禁止」。急速に蔓延しつつあるエイズ対策の一環として、いかにも割り切った、日本ではちょっと考えられない現実的な措置が重慶市で実施に移され、議論を呼んでいる。

 違法行為である売(買)春取り締まりは当面棚上げし、現実的なエイズ対策に的を絞った当局の姿勢に「英断だ」と評価の声がある一方、「売(買)春を公認するものだ」との反対論も根強く、賛否は相半ばしている。

建前を捨て、本音の手を打った

 重慶に限った話ではないが、中国の理髪店やマッサージ店、ナイトクラブなどの中に、売(買)春行為を暗黙の前提にしている店が少なくないことは周知の事実である。もちろん違法行為なのだが、どこの国も建前と本音があって、なかなか一筋縄ではいかない問題ではある。

 その一方で、エイズ感染の拡大は進んでいる。中国保健省、国連合同エイズ計画(UNAIDS)、世界保健機関(WHO)が合同で2006年1月に発表した報告書「中国におけるHIV/エイズの流行と対策」によれば、 中国のHIV陽性者数は65万人で、現在も急増を続けている。年間の新規感染は推定7万人に達し、感染経路は薬物注射使用と売春による性感染で約80%を占めているとされている。

 こうした状況に何らかの手を打たないと、エイズも社会的に広く、かつ深く蔓延してしまう恐れがある。「売(買)春はいけません」というのはその通りだとしても、お題目をいくら唱えていても当面なくなる可能性がない以上、次善の策としてコンドームの使用を徹底する方が現実的な効果が大きいと、重慶市当局は判断したものと思われる。

 重慶市では、今年6月までの累計でエイズ感染者が2222人に達しており、そのうち性行為によるものは12.7%あった。今回当局が展開しているのは、「100%コンドーム使用プロジェクト」と称するもので、市内の5つの区や県(中国では大きな市の下に県がある)などを対象に、市の衛生部門や警察などが協力し、5年以内にコンドームの100%使用を達成しようというものだ。

違法行為を前提に、研修を行う矛盾

 同市の発表によれば、市内のある1区だけで理髪店やマッサージ店、ナイトクラブ、バーなどの歓楽施設が1000カ所以上あり、うち441軒で性的サービスを提供していると見られるという。そうした個所を指導員が巡回してコンドームの使用を促し、適切な使用法などの研修を実施したうえで、経営者と協議書を結ぶ。形式的には任意のものだが、協議書の締結後も定期的に指導員が身分を隠して訪問し、誓約が守られていない場合、強制的な営業禁止措置を取る、などとしている。

 エイズ感染拡大の防止という大義名分があるとはいえ、違法行為を前提として公的機関がコンドーム使用法の研修を行うというのだから、確かに矛盾した話ではある。その意味でも、かなり思い切った決断であると言っていいだろう。

 この措置が新聞等で報道されるや、大きな反響が全国に広がった。

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