米同時多発テロからちょうど5年。被災地となったニューヨーク・マンハッタンの世界貿易センター(WTC)跡地では、再開発が始まっています。今年5月には、第7世界貿易センタービル(以下、7WTC)がオープンしました。このビルは5年前、火災によって真っ先に倒壊したビルでした。
家賃は1平方フィート当たり50ドルと割安だが
![]() |
|
|
私は1年前、このビルが建設中の時に「入居者を集めるのに苦労している」と日経ビジネスオンラインの前身、日経ビジネスEXPRESSでリポートしたことがあります。それから1年が経過して実際はどうなったのか。もう一度、関係者に話を聞いてきました。結論から言うと、今も悩みは変わらないようです。
52階建てのこのビルがテナントを募集しているのは42フロアですが、今のところ入居が決まっているのは、そのうち半分の21フロアだけです。現在、入居しているのは金融機関、出版社、法律事務所などです。これに加えて、先頃、大手格付け機関のムーディーズ・インベスターズ・サービスが15フロアの契約を結びました。
ちなみに2008年にマンハッタンのビジネス街の中心ミッドタウンに完成するバンク・オブ・アメリカのビルの入居率は、オープン前の現段階で既に90%に達しています。バンカメのビルは1平方フィート当たりの家賃が125〜150ドル。これに対して、7WTCの家賃は税制優遇措置もあって約50ドルとかなり割安です。にもかかわらず、入居者が思うように集まらないのが現実なのです。
「的になるビルでは誰も働きたくない」
その理由ははっきりしています。「的になるビルでは誰も働きたくないでしょう」。都市計画を専攻しているコロンビア大学のスーザン・フェインスティン教授はこう語ります。もう一度テロが起きるとすれば、7WTCはテロリストの標的になりやすいと言わざるを得ません。そのため、テナントが二の足を踏んでいるのです。
このビルのオーナー(リース権の保有者)であるラリー・シルバースタイン氏は「米国で一番安全なビルを造った」と強調します。「テロリストは7WTCの優れている安全対策を知っていたら、攻撃しても無駄だと分かって、別の場所を目指すでしょう」。
確かに7WTCはコンクリートの厚みや耐火性を建築基準法が定める要求よりもはるかに高いレベルに設定するなど、安全性に配慮しています。それでも、今のところテナントの不安は払拭できていません。
実はこんな話もあります。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。











